AIで業務効率化できる仕事|部門別の活用例と始めるときの注意点
AIで業務効率化しやすい仕事は、「文章を読む、書く、まとめる」「ばらばらの情報を整理して表にする」「決まった基準で仕分ける」といった作業です。営業、マーケティング、カスタマーサポート、人事・採用、経理・総務、管理職のどの部門にも、こうした作業が日常的にあり、AIの使いどころが見つかります。一方で、最終的な判断や、取り消せない操作まで任せるのは、向いていません。
この記事では、部門別に18の活用例を、「入力するもの→AIがやること→人が確認すること」の形で整理します。あわせて、効果の測り方と、始めるときの注意点も書きます。Nexlyでは、広告運用やCRMの構築とあわせて、問い合わせの振り分けやレポート作成のようなAI活用を支援していて、その中で「効果が見えやすい」と感じる業務の特徴をまとめました。なお、特定の企業の導入事例は紹介せず、一般化した使い方にとどめています。
この記事でわかること
- 日本の企業で、生成AIがどの業務に使われているか(総務省の調査から)
- 営業・マーケ・サポート・人事・経理総務・管理職の業務別の活用例
- 「入力、AIの処理、人の確認」の型で、どの業務も整理する考え方
- 活用の優先順位のつけ方と、効果の測り方(計算例つき)
- 始めるときの注意点(情報の扱い、確認の置き方)
目次 [閉じる]
日本企業では、どんな業務にAIが使われているか
まず、実態を公的な調査で確認します。総務省の「令和8年版 情報通信白書」には、企業向けのアンケート(2025年度実施)の結果が載っています。日本の企業では、生成AIの活用方針について「積極的に活用する」または「活用する領域を限定して利用する」と回答した割合の合計が68.9%で、前年度の調査(49.7%)から大きく上昇しました。また、活用方針の設問で「わからない」と回答した対象を除いて、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は86.4%でした。
業務の種類別に見ると、日本では「議事録・メール作成補助」での活用が約7割と最も高く、次に「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割と続いています。導入効果を実感すると回答した割合も、「議事録・メール作成補助」が約7割で、他の業務類型より目立って高い結果でした。

同じ白書では、日本は米国・ドイツ・中国と比べて、全体的に「未導入」や「わからない」と回答する割合が高いとも報告されています。裏返せば、業務ごとに使い方を具体的に決めて試す余地が、まだ多く残っているということです。
このデータからは、「文章を扱う作業」から使い始める会社が多いことが読み取れます。逆に言えば、文章に関わる作業は、最初に取り組みやすく、効果も実感されやすい領域です。ただし、これは「多くの会社が使っている」ことを示すもので、「自社でも同じ効果が出る」とは限りません。自社の業務の中で、時間がかかっているものから選ぶ必要があります。
どの業務も「入力、AIの処理、人の確認」の型で考える
AIの活用例は、数が多くて迷いやすいです。整理のコツは、業務を次の3つに分けて見ることです。
- 入力:AIに渡す材料(メール、議事録、数字、過去の資料など)
- AIの処理:読む、要約する、分類する、下書きを書く、表にする、といった作業
- 人の確認:AIの出力を見て、直す、判断する、実行する

この型を使うと、AIに任せる範囲と、人が持つ範囲が明確になります。多くの業務では、AIの処理の部分が「下書き」にあたり、人の確認が「決める、送る、実行する」にあたります。以下の活用例も、すべてこの型で書いています。
AIが得意な作業と、苦手な作業
型に当てはめる前に、AIの得意・不得意を押さえておくと、任せる範囲を決めやすくなります。
| 得意なこと | 苦手なこと、注意が要ること |
|---|---|
| 長い文章を、要点にまとめる | 正確な数字の計算や、桁の多い集計(誤ることがある) |
| 文章の種類や内容を、決めた基準で分類する | 基準があいまいな分類(人によって判断が分かれるもの) |
| 指定した形式(表、箇条書き、定型文)に整える | 最新の出来事や、社内にしかない情報(材料を渡さないと答えられない) |
| 下書きを複数案、すばやく出す | 事実の裏付け(もっともらしい誤りを、自信ありげに書くことがある) |
| 同じ作業を、何件でも同じ手順で繰り返す | 責任を伴う最終判断(合否、契約、支払いの決定) |
右側の列にある作業は、AIに任せるのではなく、人が持つか、人が確認する前提で使います。左側の列の作業は、型の「AIの処理」の部分にあたります。
部門別の活用例:営業・マーケ・サポート・人事・経理総務・管理職
ここから、部門ごとに活用例を見ていきます。自社に近い部門から読んでも構いません。どの例も、AIが下書きや整理を受け持ち、人が確認して実行する形です。合計で18の例を挙げていますが、すべてを取り入れる必要はなく、自社で時間がかかっている作業に近いものを、1つか2つ選んで試すだけで十分です。
営業:調べる、書く、記録する作業を減らす
営業は、顧客と話す以外の時間(準備、記録、連絡)が長くなりがちです。この「話す以外」の部分が、AIの得意な領域です。
| 活用例 | 入力 | AIの処理 | 人の確認 |
|---|---|---|---|
| 訪問前の下調べ | 相手企業のWebサイトや公開情報 | 事業内容と最近の動きを数行にまとめ、質問案を出す | 事実の誤りがないか。出典を確認 |
| 商談メモの整理 | 商談の議事録や走り書き | 相手の要望、懸念、次のアクションに分けてCRM用に整える | 聞き違いや、決まっていないことが決定扱いになっていないか |
| 提案書・メールの下書き | 商談メモと、過去の提案書 | 相手の課題に沿った構成案と、文面を作る | 金額、納期、約束の内容。送信は人が行う |
営業での注意点は、数字と約束事です。AIは、納期や金額を、もっともらしい形で書いてしまうことがあります。契約や見積もりに関わる内容は、AIの下書きをそのまま使わず、必ず元の資料と照らして確認します。議事録からタスクを起こす部分は、AI議事録の始め方で詳しく説明しています。
マーケティング:分析のたたき台と、素材づくりを速くする
マーケティングは、数字を見て、考えて、文章や画像にする作業の連続です。AIは、考えるための「たたき台」と、素材の量産に向いています。
- 広告・記事の案出し:商品の特徴とターゲットを渡し、見出しや広告文の案を多めに出させる。人は、法令や自社の表現ルールに合うかを確認し、採用する案を選ぶ
- レポートの要点まとめ:広告や解析の数字を表で渡し、前週との変化と、目立つ動きを文章にさせる。人は、数字の見間違いがないかと、変化の理由を推測だけで書いていないかを確認する
- 競合・市場の調査メモ:公開情報を渡し、比較表の下書きを作らせる。人は、出典の日付と、事実かどうかを確認する
数字を扱う作業では、AIに計算までさせないほうが安全です。合計や増減率は、スプレッドシートの関数で出し、AIには「その数字から読み取れること」を書かせる、という分担が確実です。広告の数字の読み方は、広告のCPAが急に悪化したときの原因の切り分け方のような別の記事で整理しています。
カスタマーサポート:返信案づくりと、振り分けに使う
サポートは、同じような質問が繰り返し来る一方で、1件ごとに丁寧さが求められます。AIは、返信の下書きと、問い合わせの仕分けで力を発揮します。
| 活用例 | 入力 | AIの処理 | 人の確認 |
|---|---|---|---|
| 返信案の作成 | お客様のメールと、過去の回答、マニュアル | 回答の根拠となる箇所を探し、返信の下書きを作る | 回答内容が正しいか。トーンが適切か。送信は人が行う |
| 問い合わせの分類・優先度づけ | フォームやメールの本文 | 種類(質問、不具合、解約など)と緊急度を判定し、担当に回す | AIが迷った案件と、緊急度が高い案件の対応 |
| よくある質問(FAQ)の整備 | 過去の問い合わせの履歴 | 多い質問をグループ分けし、FAQの下書きを作る | 内容の正確さ。公開するかの判断 |
サポートでは、お客様に直接届く文章であるため、送信前の人の確認を外さないことが基本です。分類や優先度づけは、決まった手順で組みやすく、効果も見えやすい領域です。作り方は問い合わせ・メールの自動振り分けで説明しています。

人事・採用:整理と連絡の下書きを任せ、判断は人が持つ
人事・採用は、個人情報や評価に関わる情報を扱うため、AIに渡す情報の線引きが特に重要になります。そのうえで、作業の整理に使える場面があります。
- 求人票・スカウト文面の下書き:募集の条件と、仕事の内容を渡して、候補者に伝わる文章の案を作らせる。人は、条件の記載に誤りや誇張がないかを確認する
- 応募書類の整理:応募書類を、募集要件に沿った項目(経験年数、使えるツールなど)に分けて一覧にさせる。合否の判断は人が行い、AIには判断させない
- 面接の質問案づくり:職種の要件から、確認したい点と質問案を出させる。人は、応募者によって質問が偏らないように、共通の質問を決める
採用の合否や、人事評価をAIに判断させることは避けたほうが無難です。判断の根拠が説明しにくく、偏りが出るおそれもあるためです。AIの役割は、読む手間を減らす整理までにとどめ、人が見るべき情報を見やすくする、という位置づけで使います。
経理・総務:突き合わせと、定型の連絡を減らす
経理・総務は、決まった手順の業務が多く、AIとスクリプトの組み合わせが向きます。ただし、お金に関わる処理は、確認を厚めにします。
| 活用例 | 入力 | AIの処理 | 人の確認 |
|---|---|---|---|
| 請求書と発注記録の突き合わせ | 請求書のデータと、発注の記録 | 金額や品目が合わない行を抜き出し、違いの内容を書く | 違いがあった行の対応。支払いの承認は人が行う |
| 社内問い合わせへの回答(規程・手続き) | 就業規則、経費精算の手順書 | 質問に対して、該当する規程の箇所を示して答える | 規程の最新版か。例外的なケースは担当者が回答 |
| 定型連絡・通知文の作成 | 連絡の目的と、日程や対象者 | 案内文と、リマインドの文面を作る | 日付と対象者。送信は人が行う |
社内向けの問い合わせへの回答は、元になる規程や手順書が古いと、AIも古い内容で答えます。AIを入れる前に、元の資料を最新にして、更新の担当を決めておくことが、効果を左右します。
管理職:読む量を減らし、判断に時間を使う
管理職は、報告を読む、会議に出る、判断する、という仕事の割合が高いため、「読む」と「まとめる」を減らせると、判断の時間が増えます。
- 週報・日報の要約:メンバーの報告を渡し、進捗、課題、リスクの3つに分けて要約させる。人は、要約から漏れている重要な点がないかを、気になるメンバーの原文で確認する
- 会議資料の下読み:長い資料を渡し、論点と、確認すべき質問を挙げさせる。人は、資料の主張が正しいかを自分で判断する
- 面談・1on1の準備:過去のメモを渡し、前回の話題と、聞きたいことの案を出させる。人は、本人の状況に合わせて内容を決める
管理職の場合、AIの要約だけを頼りにすると、現場の細かな変化を見逃すことがあります。要約は入口にして、気になる点は元の情報を見る、という使い方が安全です。
AIへの指示の書き方:活用例を動かすための5つの要素
同じAIを使っても、指示の書き方で出力の使いやすさが大きく変わります。部門に関わらず、次の5つの要素を入れておくと、手直しの回数が減ります。
- 役割と目的:誰の立場で、何のために使う文章か(例:サポート担当として、お客様への返信の下書きを作る)
- 材料:参照してよい情報を、区切って渡す(お客様のメール、該当するマニュアルの箇所)
- 守ること:言葉づかい、文字数、入れてはいけない内容(例:返金や補償の約束はしない)
- 出力の形:返信文だけでなく、根拠にした箇所と、確信が持てない点を分けて出す
- 判断に迷ったときの扱い:推測で埋めず、「要確認」として人に戻す
特に効くのは、3番目の「守ること」と、5番目の「迷ったときの扱い」です。AIは、指示がないと空白を自然な文章で埋めようとします。「分からないときは分からないと書く」と指示しておくと、人が確認する場所が明確になります。指示の書き方は、一度書いて終わりではなく、AIが外した例を見ながら、少しずつ直していくものです。外れた例を集めて、指示に追記する運用を、最初から決めておきます。
部門ごとの指示の例を、短く挙げます。そのまま使えるように書いていますが、会社の言葉づかいに合わせて直してください。
- 営業(訪問前の下調べ):「次の公開情報だけを根拠に、この会社の事業内容と最近の動きを5行以内でまとめてください。情報にないことは推測で書かず、不明と書いてください。最後に、商談で確認したい質問を3つ挙げてください」
- サポート(返信案):「次のお客様のメールに対し、下のマニュアルの記載だけを根拠に返信の下書きを作ってください。返金や補償の約束はしないでください。根拠にした箇所を別に示し、マニュアルに答えがない場合は『要確認』と書いてください」
- 管理職(週報の要約):「次の週報を、進捗、課題、リスクの3つに分けて、各3行以内で要約してください。原文にない評価は加えず、重要そうな箇所には元の文を引用してください」
どの例にも、「根拠にする情報の範囲」と「分からないときの扱い」が入っています。この2つが入っているだけで、出力の確認がかなり楽になります。
どの業務から始めるか:時間と、取り消しやすさで選ぶ
ここまでで、18の活用例を挙げました。全部を一度に始める必要はありません。優先順位は、次の2つの軸で決めます。
- 業務にかかっている時間(月あたりの合計):長いほど、効果が見えやすい
- 間違えたときの取り消しやすさ:取り消しやすいほど、安全に試せる

時間が長く、取り消しやすい業務が、最初の候補です。議事録の整理、返信の下書き、レポートの要点まとめなどがこれにあたります。反対に、送信や支払いのように取り消しにくい操作は、人の承認を前提にして、あとから検討します。業務を洗い出す手順は、業務の棚卸しのやり方にまとめています。
ポイント
最初の1つは、「毎週発生して、1回に30分以上かかり、AIが外してもすぐ直せる」業務を選びます。この3つがそろうと、効果が見えやすく、失敗しても被害が小さくて済みます。
AI活用でよくある「作業が減らない」パターン
AIを入れたのに、思ったほど時間が減らないことがあります。原因は、次のどれかであることが多いです。
| 起きていること | 原因 | 直し方の方向 |
|---|---|---|
| 下書きの修正に、自分で書くのと同じくらいかかる | 指示が曖昧で、材料も足りない | 5つの要素で指示を書き直し、材料を増やす |
| 確認に時間がかかり、結局全部読み直している | どこが不確かか分からない出力になっている | 根拠と、確信が持てない点を分けて出させる |
| 使う人が限られ、広がらない | 使い方が個人の工夫に閉じている | うまくいった指示を共有の場所に残し、誰でも使える形にする |
| 最初は使われたが、数週間で使われなくなる | 業務の流れに組み込まれていない | 使う場面(メールを受けたとき等)を決め、手順に入れる |
| 効果が説明できない | 始める前の数字を取っていない | 今からでも、1か月分の時間と件数を記録して基準にする |
共通するのは、AIの性能より、使い方の設計が原因になっている点です。AIの出力を人が受け取る場所と手順まで決めて、はじめて業務が変わります。業務そのものの組み直しを含めて考える場合は、後ろの項目も参考にしてください。
最初の30日の進め方
活用の候補が見つかったら、30日ほどで試す計画を立てます。次の表は、1つの業務を試すときの目安です。
| 期間 | やること | 残すもの |
|---|---|---|
| 1週目 | 対象の業務を1つ決める。月の所要時間と、手戻りの件数を記録する。入力してよい情報を確認する | 現状の数字、情報の線引きのメモ |
| 2週目 | 指示を書いて試す。出力は全件、人が確認する。外れた例を記録する | 外れた例の一覧、直した指示 |
| 3週目 | 指示を直して、同じ作業をやり直す。確認にかかる時間を測る | 修正の回数、確認の時間 |
| 4週目 | 前後の数字を比べる。続ける、広げる、やめるを決める。うまくいった指示を共有する | 効果の数字、共有用の指示書 |
4週目に「やめる」を選ぶのも、立派な結果です。効果が小さい業務を見極められれば、次の候補に時間を使えます。続けると決めた場合は、確認の範囲を少しずつ減らしながら、対象の件数を増やします。
効果の測り方:時間と、手戻りの2つで見る
AIの効果は、「便利になった気がする」では判断できません。始める前に、次の2つを記録しておきます。
- その業務に、月で合計何時間かかっているか
- やり直しや、ミスの件数が月に何件あるか
AIを入れたあとに、同じ数字を取り直します。ここで注意したいのは、「AIの処理の時間」だけでなく、「人の確認と修正の時間」まで含めて数える点です。AIが下書きを出す時間は短くても、確認と修正に時間がかかっていれば、全体の削減は小さくなります。

たとえば、サポートの返信案づくりで、1件あたり15分かかっていた業務が、AIの下書きと人の確認で7分になったとします。月に120件対応するなら、30時間が14時間になり、月16時間の削減です。この数字は、計算の考え方を示す例です。実際の数字は、自社の業務で測ってください。
件数が少なくて、月単位では数字がぶれる業務は、サンプルで測る方法もあります。たとえば、AIを使う日と使わない日を、1週間ずつ交互に設けて、同じ作業にかかった時間を比べます。厳密な比較ではありませんが、続けるかどうかの判断には十分な材料になります。
時間の削減に加えて、対応の質も見ます。返信までの時間、お客様からの再質問の件数、社内での手戻りの件数などです。AIで速くなっても、質が下がっていれば、効果とは言えません。
始めるときの注意点:情報の扱いと、確認の置き方
AI活用で最初に起きやすいトラブルは、入力する情報の扱いと、出力の確認不足です。次の3点は、始める前に決めておきます。
- 入力してよい情報と、いけない情報:個人情報、契約金額、取引先名などの線引きを決める。個人情報保護委員会は、個人情報を含むプロンプトを生成AIサービスに入力する場合、利用目的の達成に必要な範囲内であることを確認し、本人の同意なしに入力した個人データが、応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合は、法令に違反するおそれがあるとして、提供事業者が機械学習に利用しないことなどを確認するよう求めている
- 確認する人と、範囲:AIの出力は、誰がどこまで確認するかを決める。お客様や社外に出る文章は、必ず人が確認する
- 使うサービスとプラン:入力内容が学習に使われない設定や、法人向けのプランを選ぶ。各サービスの利用規約とプライバシーポリシーで確認する
これらを文書にしたものが、社内のガイドラインです。作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方に、ひな形つきでまとめています。AI活用全体の進め方は、AXとはで整理しています。
AIに渡す「材料」を整えておく
活用例のほとんどは、AIに渡す材料の質で出来が決まります。マニュアルが古い、過去の対応記録が散らばっている、顧客の情報がメールと表計算ソフトに分かれている、といった状態では、AIも正しい答えを返せません。AIを使い始める前に、次の3つを確認しておくと安心です。
- 参照する資料(マニュアル、規程、FAQ)は、最新になっているか。更新する担当者は決まっているか
- 過去の対応や数字は、AIに渡せる形(テキストや表)で、1か所にまとまっているか
- 渡してはいけない情報が、資料の中に混ざっていないか
この3つの整理が必要だと分かった場合は、AIの活用と並行して、資料の整理を進めます。資料を整理しただけで、AIの答えが安定することもあります。
よくある質問
Q. 部門ごとに別々のAIツールを入れたほうがよいですか?
最初は、全社で1つのAIサービスから始めるほうが、ルールと費用を管理しやすいです。専門性の高い業務で、専用のツールが必要になったときに、個別に追加を検討します。
Q. 社員が勝手に個人のAIアカウントで使ってしまいます。
禁止だけでは、使われなくなるわけではありません。会社として使ってよいサービスと、入力してよい情報を決め、使える環境を用意するほうが、情報漏えいの防止につながりやすいです。
Q. 小さな会社でも効果は出ますか?
効果が出る可能性は十分あります。担当者が少ない会社ほど、1人あたりの定型作業の割合が高く、AIで減らせる時間が大きくなりやすいです。ただし、最初から多くの業務に広げず、1つの業務で、効果の測り方まで確認してから広げてください。
Q. AIが出した内容が間違っていたとき、どうなりますか?
AIの出力を使った業務の責任は、使った会社にあります。そのため、お客様に届く文章や、お金に関わる処理は、人が確認してから実行する形にします。誤りが見つかった例は記録しておき、指示の書き方を直す材料にします。
Q. 効果が出ない場合は、どう見直しますか?
まず、確認と修正の時間が長くなっていないかを見ます。長い場合は、AIへの指示の書き方、渡している材料の質、業務の選び方のどれかが原因であることが多いです。AIの性能を疑う前に、この3つを見直してください。
まとめ:読む・書く・仕分ける作業から、取り消しやすい順に始める
AIで業務効率化しやすいのは、読む、書く、まとめる、仕分ける、といった作業です。部門ごとに活用例は違いますが、「入力、AIの処理、人の確認」の型で整理すると、任せる範囲と人が持つ範囲を決めやすくなります。
- 日本企業では、議事録・メールの作成補助、営業・販売、社内ヘルプデスクの順に、生成AIが使われている(総務省の調査)
- どの業務も、AIは下書きと整理、人は確認と実行という分担にする
- 最初は、時間が長くて、間違えても取り消しやすい業務を1つ選ぶ
- 効果は、人の確認と修正の時間まで含めて、始める前後で測る
- 入力してよい情報と、確認する人を、始める前に決める
まずは、自社で一番時間をとっている文章作業を1つ選び、1か月だけ試して、前後の数字を比べてみてください。
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この記事を書いた人
株式会社Nexly 代表 大林 諒。広告運用、kintone・SalesforceなどのCRM構築、業務の自動化とAI活用を中心に、マーケティングの設計から実行まで中小企業の支援をしています。自社でも転職エージェント「Re:WORK」を運営し、広告・SEO・CRMを日々回しています。