L Harnessとは:月額0円で使えるLINEの拡張ツール。Lステップとの違いと、かかる費用

公開 書いた人 大林 諒

L Harnessは、LINE公式アカウントにステップ配信・タグ・フォーム・予約・チャットの管理画面を足す拡張ツールです。Lステップなどと役割は近いのですが、ソースコードが公開されていて、自分のCloudflareのアカウントに立てて使う点が違います。ソフトの利用料は0円で、かかるのはLINE公式アカウントの料金とCloudflareの利用量です。読み終わると、サンプル料理教室のような小さな教室がL Harnessを選ぶべきか、Lステップのような月額の拡張ツールを選ぶべきか、標準機能のままでよいかを判断できます。前提として、LINE公式アカウントはすでに開設済みで、あいさつメッセージやリッチメニューなど標準機能はひと通り触ったことがある状態とします。

この記事の内容
  1. 先に決めること
  2. L Harnessとは
  3. L Harnessでできること
  4. Lステップとの違い
  5. かかる費用
  6. 選び方
  7. MITライセンスで許されること
  8. 応用:本番で動かして分かったこと
  9. できないことと、その代わり
  10. よく詰まるところ
  11. 次にやること

先に決めること

拡張ツールは「入れてから合わなかった」が一番高くつきます。タグや配信の履歴は乗り換えると引き継げません。L Harnessを候補に入れる前に、次の4つを決めておきます。

  • 標準機能で足りないのはどこか。サンプル料理教室なら、体験レッスンの後に入会の案内を3回に分けて送る、入会した人には送らない、の2点が標準機能では組みにくいところです。足りないところが言えないなら、まだ拡張ツールは要りません
  • 立てて直す人がいるか。L Harnessはサーバーを借りる代わりに、自分のCloudflareに置きます。コマンドを1行打つ、エラーの英文を読む、月に1回更新をかける、をやれる人が社内か外注先に1人いるかどうかで、選べるかが決まります
  • 困ったときに電話やチャットで聞きたいか。L Harnessには販売元のサポート窓口がありません。聞ける先が要るなら、月額の拡張ツールのほうが合います
  • 送る窓口をどこに寄せるか。L Harnessを入れたら、配信もチャットの返信もL Harnessから送る運用にします。LINE Official Account Manager(管理画面)やLINE公式アカウントアプリからも送り続けると、誰に何を送ったかが2か所に分かれます

L Harnessとは

L Harnessは、LINE公式アカウント向けのオープンソースの顧客管理・配信ツールです。GitHubの Shudesu/line-harness-oss で公開されていて、ライセンスはMITです。作者は野田修一さん(GitHubの名前はShudesu)で、READMEにはAIエージェント株式会社の代表と書かれています。リポジトリは2026年3月に公開され、2026年10月27日時点の最新の公開版は v0.25.0 です。

名前は2026年8月19日から「L Harness」に統一されました。それまでは「LINE Harness」と表示されていたので、古い記事や手元の資料にはLINE Harnessの名前が残っています。リポジトリのURL、セットアップ用の create-line-harness、npmの @line-harness/* は、既存の導入を壊さないために旧名のまま残しています。

L HarnessはLINEヤフーが提供するものではありません。GitHubのブランド方針のページに、LINEヤフーが提供・推奨・認定したものではない独立したオープンソースのプロジェクトだと書かれています。LINE公式アカウントのMessaging APIにつないで動く、外部のツールという位置づけです。

GitHubの Shudesu/line-harness-oss のトップ。READMEの冒頭と、右側の「MIT license」の表示
GitHubの Shudesu/line-harness-oss のトップ。READMEの冒頭と、右側の「MIT license」の表示

どこで動くか

L Harnessは、Cloudflareの次の3つの上で動きます。どれも自分のCloudflareのアカウントの中に作るので、友だちの情報やトークの履歴は自分のアカウントに残ります。

部品Cloudflareのサービス役目
本体WorkersLINEからのWebhookを受ける、APIを返す、5分おきに配信の処理を回す
データベースD1(SQLite)友だち・タグ・シナリオ・配信・フォームの回答を保存する
管理画面Pagesスタッフが配信やチャットを操作する画面

LINEとのつなぎ方は普通のMessaging APIと同じです。LINE Developersで作ったMessaging APIチャネルのWebhook URLにL HarnessのURLを入れると、友だち追加やメッセージがL Harnessに届き、L Harnessからプッシュメッセージで送ります。友だち追加の経路を記録したりフォームをLINEの中で開いたりするために、GitHubの導入ガイドではLINEログインのチャネル(LIFF用)も作るよう書かれています。

L Harnessでできること

GitHub本家のREADMEに書かれている機能を、サンプル料理教室でどう使うかと並べると次のとおりです(2026年10月時点)。READMEに無い機能は載せていません。

分類機能READMEの説明サンプル料理教室での使い方
配信ステップ配信分単位で間隔を決める、条件分岐体験レッスンの翌日・3日後・7日後に入会の案内
配信ブロードキャスト全員・タグ・セグメント、即時か予約来月のレッスン日程を、通っている人だけに送る
配信リマインダー指定日時からのカウントダウン配信体験レッスンの前日と当日に案内
配信テンプレート{{name}} などで一人ずつ差し込み「〇〇さん、明日19時からです」
配信トラッキングリンククリック計測、自動でタグ付け、シナリオ開始入会案内のリンクを押した人に「入会検討」のタグ
顧客管理友だち管理Webhookで自動登録、プロフィール取得、独自の項目友だち一覧に生徒番号を持たせる
顧客管理タグ配信の条件、シナリオの開始条件体験済み・入会済み・休会中
顧客管理スコアリング行動に応じて点数を自動計算リンクを押した回数で入会の見込みをつかむ
顧客管理オペレーターチャット管理画面から1対1で返信問い合わせにスタッフが返す
顧客管理Conversation Inbox未返信の会話を放置時間の順に一覧返し忘れを毎朝確認
顧客管理重複検出複数アカウントにまたがる同じ人にタグ1アカウントの教室では使わない
集客リッチメニューユーザー別・タグ別に自動で切り替え体験前と入会後でメニューを変える
集客流入経路の記録友だち追加URLの ref で経路を記録チラシ・Instagram・ホームページのどこから来たか
集客フォーム(LIFF)LINEの中で完結、回答を友だちの情報に保存体験レッスンの申込みフォーム
集客カレンダー予約Googleカレンダー連携の予約(LIFF)体験レッスンの日時を選んでもらう
集客ライブCTA即時予約ウェビナー中に日時を選び、Google Meet発行とLINEリマインドまでオンライン説明会をするなら使う
運用スタッフ管理Owner・Admin・Staffの3つのロール、APIキーを個別に発行店長がOwner、講師がStaff
自動化IF-THENルール7種類のきっかけ×6種類の動き友だち追加でタグを付ける
自動化自動返信キーワードの完全一致・部分一致「駐車場」と来たら案内を返す
自動化Webhookの送受信・通知ルールStripe・Slackなど外部とつなぐ、条件付きの通知問い合わせが来たらスタッフに通知
運用マルチアカウント・BAN検知複数のLINE公式アカウントを1つの画面で、停止の兆候を監視1アカウントの教室では使わない
計測アフィリエイト計測紹介リンクの発行、成果の承認生徒の紹介制度を作るなら
開発MCPサーバー・SDKClaude CodeからMCPで操作、TypeScriptのSDK配信文の下書きやシナリオ作成を自動にする
開発プラグインマーケット(β)独自の処理を本体と別のWorkerに切り出す本体を改造せずに自社の処理を足す

表はGitHubのドキュメントの機能一覧です。2026年10月時点の管理画面の左メニューに並ぶのは、「ダッシュボード」「友だち管理」「個別チャット」、配信の「シナリオ配信」「一斉配信」「テンプレート」「リマインダ」、分析の「流入経路」「CV計測」「スコアリング」「フォーム回答」、自動化の「オートメーション」「Webhook」「通知」、ほかに「スタッフ管理」「LINEアカウント」「UUID管理」「BAN検知」「緊急コントロール」です。カレンダー予約やタグの管理は、左メニューには項目がありません。

標準機能にもステップ配信やセグメント配信はあります。変わるのは、タグや回答で細かく送り分けられることと、その履歴が自分のデータベースに残ることです。

L Harnessの管理画面のダッシュボード。左のメニューに友だち管理・シナリオ配信・一斉配信・リマインダ・フォーム回答が並んでいるところ
L Harnessの管理画面のダッシュボード。左のメニューに友だち管理・シナリオ配信・一斉配信・リマインダ・フォーム回答が並んでいるところ

Lステップとの違い

同じ役割の道具として一番よく比べられるのがLステップです。Lステップの数字は公式の料金ページ、L HarnessはGitHub本家のREADMEと導入ガイドで確かめた内容です(2026年10月時点)。

比べるところLステップL Harness
ツールの月額フリー0円、スタート5,000円、スタンダード21,780円、プロ32,780円(すべて税込)0円(ソフトの利用料)
初期費用0円0円(自分で立てる場合)
月の配信数の目安フリー〜200通、スタート〜5,000通、スタンダード〜30,000通、プロ〜50,000通ツール側の上限は無い。LINEの料金プランの通数とCloudflareの無料枠で決まる
LINE公式アカウントの料金別にかかる別にかかる
どこで動くかLステップのサーバー自分のCloudflareのアカウント
データの持ち主契約しているサービスの中に保存自分のD1に保存。中身を直接取り出せる
サポート全プランでチャットサポート無制限、活用セミナー、初期設定サポート(Zoom)、スポットコンサル販売元の窓口は無い。GitHubのIssueと公開の資料
画面の作り込み長く使われてきた管理画面とテンプレート機能は揃っているが、画面は運用しながら慣れる前提
自分でやる手間契約して設定するだけ導入、更新、バックアップ、エラー対応を自分でやる
中身の改造できないMITなので自由に改造できる

Lステップは、導入から日々の使い方までを聞ける先があることに月額を払う道具です。L Harnessは、その部分を自分で持つ代わりにツールの月額が消えます。どちらが上ということはなく、社内に「立てて直せる人」がいるかで向き不向きが決まります。Lステップ自体の料金とできることは「Lステップとは:料金・できること、公式アカウントだけでできること」に、エルメ・プロラインフリーも含めた比べ方は「Lステップ・エルメ・プロラインフリーの比べ方:拡張ツールが要る会社・要らない会社」に書いています。

かかる費用

L Harness自体は0円です。READMEにも、LINE公式アカウントの配信料金、Cloudflareの契約と利用量、独自ドメイン、導入・保守、つなぐ外部のAIサービスの費用は別だと書かれています。かかるものを分けると次のとおりです(2026年10月時点)。

費用金額いつかかるか
L Harnessのソフト0円かからない
LINE公式アカウント コミュニケーションプラン月0円、無料メッセージ200通、追加は不可月200通で足りるうち
LINE公式アカウント ライトプラン月5,000円(税別)、5,000通、追加は不可月200通を超えたら
LINE公式アカウント スタンダードプラン月15,000円(税別)、30,000通、追加は1通〜3円(税別・配信数で変わる)月5,000通を超えたら
Cloudflare Workers(無料)0円、1日10万リクエスト、1回の処理でCPU時間10ミリ秒小さい規模ならここで収まる
Cloudflare Workers(有料)月5ドルから、月1,000万リクエストを含む無料枠を超えたら
Cloudflare D1(無料)0円、1日に読み取り500万行・書き込み10万行、保存は合計5GB(1つのデータベースは500MBまで)小さい規模ならここで収まる
Cloudflare D1(有料)Workersの有料プランに含まれる。月に読み取り250億行・書き込み5,000万行・保存5GBまで、超えた分は従量無料枠を超えたら
独自ドメイン取るならドメインの登録業者に払う管理画面を自社のドメインで開きたいとき
導入・保守自分でやれば0円外注するなら見積もり

L Harness経由で送っても、LINEの通数は減りません。Messaging APIの料金ページでは、プッシュ・マルチキャスト・ブロードキャスト・ナローキャストが通数に数えられ、メッセージに直接返す応答メッセージは数えられません。通数は送った相手の人数で数えます。手元のL Harnessのコードでは、友だち追加の直後に送る最初のステップ(間隔0分)だけは応答メッセージで送っていて、通数に入りません。それ以降のステップ配信とリマインダーは決まった時刻に送るプッシュなので、通数に入ります。

Cloudflareの無料枠は、超えたときの止まり方を知っておく必要があります。D1は1日の読み取りか書き込みの上限に達すると、その日はクエリがエラーになります。Workersは1日10万リクエストを超えると、ルートの設定によってはError 1027のページが返って止まります。上限は日本時間の朝9時(UTCの0時)に戻ります。Workersの有料プラン(月5ドルから)に上げると、D1の1日の上限はたいてい数分で外れます。

使用量は、Cloudflareダッシュボードの「Workers & Pages」の右にある「Usage」パネルで見ます。グラフではなく、「Requests today」などの数値が並びます。D1はデータベースの一覧の「Size」の列がサイズで、右の「Usage」に読み取り(Rows read)・書き込み(Rows written)・保存量(Total storage)が出ます。

サンプル料理教室で、体験レッスンのリマインドと入会案内のステップ配信を回すと、月200通はすぐ超えます。その場合の月額は次のように比べます。

組み合わせツールLINE公式アカウントCloudflare合計の目安
標準機能だけ0円ライトプラン5,000円(税別)0円5,000円(税別)
Lステップ スタート5,000円(税込)ライトプラン5,000円(税別)0円1万円前後
L Harness0円ライトプラン5,000円(税別)0円〜5ドル5,000円(税別)〜

L Harnessの行には、立てる時間と毎月の更新の手間が入っていません。

開発元の料金説明のページでは、開発元が立てて運用まで受け持つ「L Harness Cloud」も案内されていて、2026年10月時点では先着300枠のクラウド利用料が0円と書かれています。L Harness Cloudは、GitHubで公開されているL Harnessとは別の運営として扱われています。自分で立てる人がいないけれど月額の拡張ツールは避けたい場合に見る選択肢です。

Cloudflareダッシュボードの「Workers & Pages」の右にある「Usage」パネル。「Requests today」などの数値が見えるところ
Cloudflareダッシュボードの「Workers & Pages」の右にある「Usage」パネル。「Requests today」などの数値が見えるところ
CloudflareダッシュボードのD1の一覧(Name・Tables・Queries・Size)と、右の「Usage」(Rows read・Rows written・Total storage)
CloudflareダッシュボードのD1の一覧(Name・Tables・Queries・Size)と、右の「Usage」(Rows read・Rows written・Total storage)

選び方

標準機能のまま・月額の拡張ツール・L Harnessのどれにするかは、次の順に答えていくと決まります。

  1. 標準機能の、あいさつメッセージ・応答メッセージ・リッチメニュー・ステップ配信・クーポン・ショップカードを一度ずつ使ってみる
  2. その中で「これができないと困る」を1つ書き出す。サンプル料理教室なら「体験の後に、入会しなかった人にだけ案内を送る」
  3. それがタグやフォームの回答で送り分けないとできないことか確かめる。標準機能の絞り込みでできるなら、拡張ツールは要らない
  4. 拡張ツールが要るなら、立てて直せる人が社内か外注先にいるかを確かめる。いなければLステップなどの月額ツールか、L Harness Cloudにする
  5. いるなら、その人がL Harnessを試しに1つ立ててみる。READMEの手順では npx create-line-harness の1コマンドで、Cloudflareへのログインからデータベースの作成、管理画面のデプロイまで進む
  6. テスト用のLINE公式アカウントで、友だち追加・ステップ配信・フォーム・チャットを1回ずつ通す
  7. 通ったら、本番のアカウントのWebhook URLを付け替える日を決める

READMEのクイックスタートは次の1行です。Node.js 22以上とpnpmが入ったPCで実行します。

npx create-line-harness

向く会社

  • 社内か外注先に、コマンドを打ってエラーを読める人が1人いる
  • 月額のツール代を、毎月の固定費として払い続けたくない
  • 友だちの情報やトークの履歴を、自社の持ち物として手元に置いておきたい
  • kintone・スプレッドシート・n8nなど、ほかの仕組みとAPIでつなぎたい。L HarnessはAPIで全部の機能を操作できる
  • 配信の条件や処理を、自分の業務に合わせて改造したい

向かない会社

  • 担当者が1人で、困ったら電話やチャットで聞きたい
  • 導入の時間がとれず、来週から配信を始めたい
  • 誰が更新とバックアップをやるか決められない。止まったときに直す人がいないまま本番に入れると、配信が止まっても気づけない
  • すでに別のツールがWebhookを使っていて、それを止められない
LINE DevelopersのMessaging APIチャネル「Messaging API設定」タブ。「Webhook URL」と「Webhookの利用」のところ
LINE DevelopersのMessaging APIチャネル「Messaging API設定」タブ。「Webhook URL」と「Webhookの利用」のところ

MITライセンスで許されること

L HarnessのLICENSEはMITライセンスの原文そのままで、著作権者は「Copyright (c) 2026 Shudesu」です。要点は3つあります。

  • 無料で、制限なく扱ってよい。原文は「to deal in the Software without restriction, including without limitation the rights to use, copy, modify, merge, publish, distribute, sublicense, and/or sell copies of the Software」で、使う・複製する・改変する・結合する・公開する・配布する・再許諾する・販売する、が並んでいます
  • 条件は1つだけ。原文は「The above copyright notice and this permission notice shall be included in all copies or substantial portions of the Software」で、複製や主要な部分には、著作権表示とこの許諾の文を入れておく必要があります
  • 保証は無い。原文は「THE SOFTWARE IS PROVIDED “AS IS”, WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND」で、何かあっても作者は責任を負いません

これを当てはめると、次のことができます。

やりたいことMITでの扱い気をつけること
自社のLINE公式アカウントで使うできる(use)止まったときの責任は自分で持つ
自社向けに改造して使うできる(modify)改造した版は自動更新の対象外になる
取引先のために立てて、導入費をもらうできる(use・distribute・sell)渡すコードにLICENSEを残す
改造した版を取引先に渡すできる(modify・distribute)著作権表示と許諾の文を消さない
保守を有料で請け負うライセンスは制限していない保証が無いぶん、契約で範囲を決めておく

READMEにも「商用利用・改変・再配布自由」と書かれています。一方で、「LINE」「LINE公式アカウント」はLINEヤフー側の商標・サービス名で、MITライセンスの話とは別です。取引先に導入するときは、LINEヤフーが提供しているツールだと受け取られない書き方にします。

応用:本番で動かして分かったこと

ここは公式の説明ではなく、L Harnessを本番のLINE公式アカウントで動かしてきた中で起きたことです。

会社ごとに立てる

1つのL Harnessには複数のLINE公式アカウントを載せられます。ただしスタッフのロール(Owner・Admin・Staff)は操作の種類で権限を分けるもので、導入ガイドの権限の表に「アカウントごとに見える範囲を分ける」項目はありません。別の会社のアカウントを同じL Harnessに載せると、スタッフから他社の友だちやトークが見える作りになります。実際に複数の会社で使うときは、Cloudflareのアカウントから会社ごとに分けて、L Harnessをそれぞれに1つずつ立てています。分けておくと、無料枠も会社ごとに使えます。

デプロイ先の取り違えは、トークンで止める

同じコードから2つ目の環境を立てたとき、デプロイ先を指定したつもりが効かず、1つ目の本番に向いたことがあります。このときはCloudflareのAPIトークンを2つ目のアカウント専用で作っていたので、認証エラーで止まって無事でした。全部のアカウントに触れるトークンだったら、別の会社のコードで本番を上書きしていました。APIトークンは、そのCloudflareアカウントにだけ効くものを環境ごとに作ります。

送る窓口は1つに寄せる

実際に運用していると、LINE Official Account Managerのチャットや一斉配信、LINE公式アカウントアプリから送った分は、L Harnessの画面に出てきません。スタッフの1人がアプリから返信すると、L Harnessの上では未返信のまま残り、別のスタッフが同じ内容をもう一度送る、ということが起きます。L Harnessを入れたら、配信も返信も全部L Harnessから送ると決めて、スタッフ全員に伝えます。

Webhookの付け替えは、今の使い道を確かめてから

LINE Developersの説明どおり、Messaging APIチャネルのWebhook URLに入れられる送り先は1つだけです。本番のアカウントで、すでに別の仕組みがWebhookを受けていたことがあります。そのままL HarnessのURLに書き換えると、前の仕組みは何も受け取れなくなって止まります。付け替える前に、Webhook URLに今何が入っているか、それを誰が使っているかを確かめ、切り替える日を関係者と決めます。

手を入れたくなる場所は出てくる

本番で使うと、細かいところで手を入れたくなります。手元では、自動化から送る文で差し込みが効くようにする、点数を1人1回だけ数えるようにする、といった修正を入れました。改造は自由ですが、導入ガイドでは、コードをカスタマイズした環境や自前のCI/CDでデプロイしている環境は、管理画面からの自動更新の対象外になると書かれています。改造したら、本家の更新を取り込む手順を自分で回す必要があります。本家と別にしておきたい処理は、プラグインとして別のWorkerに切り出す道もあります。

本番に出す前に、全部の通知を自分のスマホで見る

カード型のメッセージ(Flex Message)は、管理画面のプレビューとLINEアプリでの見え方がずれることがあります。本番に出す前に、テスト用のアカウントから1通ずつ自分のスマホに送って確かめます。

L Harnessの管理画面の「シナリオ詳細」。「ステップ一覧」に即時・1時間後…と並び、「+ステップ追加」があるところ
L Harnessの管理画面の「シナリオ詳細」。「ステップ一覧」に即時・1時間後…と並び、「+ステップ追加」があるところ

できないことと、その代わり

できないこと・向かないこと理由代わりの手
困ったときに電話やチャットで聞く販売元のサポート窓口が無い聞ける先が要るならLステップなどの月額ツール、立てる人がいないならL Harness Cloud
LINEの通数を減らす送るのはLINEのMessaging APIなので、通数の数え方は変わらないよくある質問はキーワードの自動返信で返す。自動返信は応答メッセージで送るので通数に入らない。管理画面のチャットで送る返事はプッシュなので通数に入る
管理画面やアプリから送った分を記録するL Harnessが受け取れるのは、LINEからWebhookで届く出来事と、自分が送った分だけ送る窓口をL Harnessに寄せる運用にする
別の拡張ツールとWebhookを分け合うWebhook URLは1チャネルに1つどちらか1つに決める
放っておいても安全に動き続ける更新・バックアップ・無料枠の見張りが自分の仕事になる月1回の更新日を決め、更新の前にD1をエクスポートする
夜中に送らないよう自動で止めるREADMEでは v0.13.2 で配信の時間帯の制限を外し、送る時刻は運用側で決める方針になっているステップの間隔と予約時刻を、夜にかからない値で組む
時刻ぴったりに送る配信の処理は5分おきに回るリマインドは「19時ちょうど」ではなく「19時台」に届く前提で文面を書く
LINEヤフーの公式サポートを受けるLINEヤフーが提供・認定したツールではないLINE側の仕様の質問は、LINE公式アカウントのヘルプとLINE Developersで調べる

更新前のバックアップと更新は、導入ガイドに次のコマンドで書かれています。1行目でD1の中身を丸ごとSQLファイルに書き出し、2行目で最新版へ更新します(公式の構成のまま使っている場合)。データベース名は自分の環境のものに置き換えます。

npx wrangler d1 export YOUR_D1_DATABASE_NAME --remote --output line-harness-before-update.sql
npx create-line-harness@latest update

CloudflareのD1には、指定した時点まで戻せる機能(Time Travel)もあり、無料プランは7日、有料プランは30日さかのぼれます(2026年10月時点)。気づくのが遅れると戻せないので、更新の前の書き出しは別に取っておきます。

よく詰まるところ

症状原因直し方
PCで友だち追加のURLを開くと、先に進まないLINEログインのチャネルにCallback URLが入っていない。スマホでは素通りするので気づきにくいLINEログインのチャネルの「LINEログイン設定」で「ウェブアプリでLINEログインを利用する」をオンにし、https://YOUR_WORKER.workers.dev/auth/callback を入れる
友だちは増えるのに、流入経路が記録されないLINEログインのチャネルを作っていない、または友だち追加URLに /auth/line?ref= を使っていない導入ガイドどおりLINEログインのチャネルを作り、チラシやホームページには ref 付きのURLを載せる
友だち追加すると、あいさつが2通届くLINE Official Account Managerのあいさつメッセージがオンのまま、L Harnessのシナリオでも送っているどちらで送るか1つに決め、もう片方を止める
L Harnessに付け替えたら、前の仕組みが止まったWebhook URLは1チャネルに1つだけ付け替える前に今の使い道を確かめ、切替日を決める。戻すときはURLを元に戻す
月の途中から配信が届かなくなったコミュニケーションプランの月200通を使い切った。このプランは追加の送信ができないライトプラン以上に上げる。月の通数を先に数えておく
ある日、管理画面がエラーになるD1の1日の読み書きの上限に達した、またはWorkersの1日10万リクエストを超えたCloudflareのダッシュボードで、「Workers & Pages」とD1の「Usage」を確かめ、Workersの有料プラン(月5ドルから)に上げる
管理画面に更新のお知らせが出ない、更新できないコードをカスタマイズしている、または自前のCI/CDでデプロイしている導入ガイドの手動の手順で、本家の変更を取り込んでデプロイする
バージョンが v0.0.0-dev と表示される古いCLIで立てた環境で、版の情報が入っていないnpx create-line-harness@latest update を実行する。改造している場合は引き上げを承認せず、手動の手順で更新する
予約配信が数分遅れて届く配信の処理が5分おきに回っている不具合ではない。時刻を強く書いた文面にしない
夜中にステップ配信が届いた配信の時間帯の制限が無く、間隔の設定どおりに送られたステップの間隔を日単位にして、送る時刻を日中に固定する
予約の空き枠が、数日たって急に出なくなったGoogle Cloudの外部向けOAuthアプリがテスト状態のまま、またはGoogle側で許可が取り消されたOAuthアプリの公開状態とテストユーザーを確かめ、管理画面から再接続する
別の環境に出したつもりが、本番に出た同じコードの複数環境で、デプロイ先の指定が効いていないAPIトークンをCloudflareアカウントごとに分け、デプロイ前に出力先の名前とアカウントを確かめる
LINE Official Account Managerで、あいさつメッセージ・応答メッセージ・Webhookのオンオフを切り替える設定画面
LINE Official Account Managerで、あいさつメッセージ・応答メッセージ・Webhookのオンオフを切り替える設定画面

次にやること

L Harnessにすると決めたら、まず立ててテスト用のアカウントで動かします。手順は「L Harnessの入れ方:Cloudflare・LINE Developersの準備から最初の配信まで」に、CloudflareのアカウントとLINE Developersのチャネルを作るところから最初の配信まで書いています。立ったあと、サンプル料理教室の体験予約・フォーム・入会案内のステップ配信を組む手順は「L Harnessで予約・フォーム・ステップ配信を組む:教室の例で一通り」にあります。

月額の拡張ツールと比べてから決めたい場合は、「Lステップとは:料金・できること、公式アカウントだけでできること」でLステップを、「Lステップ・エルメ・プロラインフリーの比べ方:拡張ツールが要る会社・要らない会社」で3つのツールを並べています。

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