ペルソナの作り方|BtoB・BtoC別の項目と、使えるペルソナにするコツ
ペルソナは、自社の商品やサービスを使ってほしい代表的なお客様を、一人の人物として具体的に描いたものです。年齢や職業だけでなく、どんな状況で困り、何を調べ、何に迷って決めるのかまで書くと、広告の文面、サイトの構成、営業の話し方を決めるときの共通の物差しになります。作り方の肝は、想像で人物を創作するのではなく、実際のお客様の記録から共通点を拾って組み立てることです。
この記事では、ペルソナとターゲットの違い、BtoBとBtoCそれぞれの項目テンプレート、情報の集め方、作ったあとの使い方をまとめます。Nexlyは広告運用やサイト改善、CRMの整理を一緒に進める立場で、ペルソナは「広告の訴求とLPの中身をそろえるための前提」として作ることが多いです。その流れに沿って書いています。
この記事でわかること
- ペルソナとターゲットの違いと、ペルソナが必要になる場面
- BtoB・BtoC別の項目テンプレートと、記入の仕方
- 顧客インタビューやCRMのデータから、事実に基づいて組み立てる手順
- 「いつ探し始めるか」という状況まで書く理由と、聞き方
- 広告・LP・営業での使い方と、使われないペルソナの特徴
目次 [閉じる]
- 1 ペルソナとは?ターゲットとの違いは「一人の人物まで具体化するか」
- 2 ペルソナが必要になる場面と、要らない場面
- 3 作る前に集める情報:想像で書かないための4つの情報源
- 4 BtoCのペルソナ項目テンプレート
- 5 BtoBのペルソナ項目テンプレート:個人と組織、購買の役割を分けて書く
- 6 作り方の手順:5ステップで組み立てる
- 7 「いつ探し始めるか」という状況まで書く:ペルソナを使えるものにする要素
- 8 ペルソナの使い方:広告・LP・コンテンツ・営業で何を決めるか
- 9 使われないペルソナの特徴と、直し方
- 10 よくある質問
- 11 まとめ:ペルソナは事実から組み立て、「きっかけ」まで書いて施策に使う
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ペルソナとは?ターゲットとの違いは「一人の人物まで具体化するか」
ターゲットは「30〜40代の経営者」「従業員50人前後の製造業」のように、狙う層を属性で区切ったものです。ペルソナは、そのターゲットの中から代表的な一人を選び、人物としてまとめたものです。名前や写真を付ける会社もありますが、必須ではありません。大事なのは、その人の仕事の状況、困りごと、情報の探し方、決め方が書かれていることです。
ターゲットだけだと、読む人によって思い浮かべる人が違います。「中小企業の経営者」と聞いて、営業担当は売上の相談を持ちかける社長を思い浮かべ、デザイナーは落ち着いた雰囲気のサイトを好む人を思い浮かべ、広告担当は検索で課題を調べる人を思い浮かべる。この食い違いが、訴求とサイトの内容のずれになります。ペルソナは、その食い違いを減らすための道具です。

なお、ペルソナは「平均的な人」ではありません。平均を取ると、誰にも当てはまらない人物になります。実際のお客様の中から、最も典型的な一人、あるいは最も売上に貢献してくれている層の一人を選んで描くほうが、施策に使えます。
ペルソナが必要になる場面と、要らない場面
ペルソナは、作ればいつでも役に立つわけではありません。必要になるのは、次のような場面です。
- 広告の訴求やLPの内容を決めるとき、担当者によって想定する相手が違っている
- 新しいサービスを出す前で、誰に向けて何を伝えるかを決めたい
- 記事やメルマガなどのコンテンツを作るとき、何を書けば読まれるかが分からない
- 営業とマーケティングで、「良いお客様」のイメージがそろっていない
一方で、すでに顧客の数字(購入率、解約率、問い合わせ元)が十分にそろっていて、施策の改善が数字だけで回っているなら、ペルソナを新しく作る優先度は高くありません。人物像を描く作業に時間をかけるより、数字の分解と検証を進めるほうが成果につながります。担当者が一人で、全体を自分で把握している場合も同様です。
つまり、ペルソナは「複数人で同じ相手を思い浮かべる必要があるとき」に価値が出ます。人数が増える、外部の制作会社や広告代理店に頼む、新しく担当者が入る、といったタイミングで作ると、無駄になりにくいです。
作る前に集める情報:想像で書かないための4つの情報源
ペルソナが使われなくなる理由のひとつは、想像で書かれていることです。「こういう人がいたらいいな」で描くと、社内の願望の写しになり、実際のお客様と合いません。情報源は、次の4つから最低2つを使います。
| 情報源 | 分かること | 集め方・注意点 |
|---|---|---|
| 顧客インタビュー | 課題を意識したきっかけ、探し方、迷った点、決め手 | 購入した人と、購入しなかった人の両方に聞けると差が見える。5人前後から共通点が出ることが多い |
| CRM・営業の記録 | 職種、会社の規模、問い合わせ元、商談の経過、失注理由 | 入力が空欄の項目は使えない。自由記述は繰り返し出る言葉を拾う |
| Webの行動データ | 流入元、見たページ、検索語、離脱箇所 | GA4やSearch Consoleで見る。「どんな言葉で探しているか」が分かる |
| 営業・サポートの声 | よく聞かれる質問、断られるときの言葉、使い始めでの戸惑い | 印象に残った一件に引きずられないよう、記録と合わせて確認する |
インタビューが難しければ、CRMの記録とGA4から始めても構いません。ただし、この2つは「何をしたか」の記録で、「なぜそうしたか」までは分かりません。理由の部分は、営業やサポートの担当者に「お客様がよく言っている言葉は何か」を聞いて補います。
情報が少ないうちは、ペルソナを「仮説」と明記しておきます。「このペルソナは営業へのヒアリングと過去の問い合わせ20件の傾向から組んだ仮説で、インタビューで確かめる」と書いておけば、後で修正することが前提になり、固定された正解として扱われずに済みます。
インタビューで聞く質問リスト
ペルソナのためのインタビューは、30分前後で足ります。質問は次の順に並べると、時系列に沿って自然に答えてもらえます。
- 今のお仕事(暮らし)の中で、どんなことをしていますか
- このサービスを探し始める前、どんな状態でしたか。何に困っていましたか
- 探し始めたのは、何かきっかけがありましたか。それはいつ頃ですか
- 最初に何で調べましたか。どんな言葉で検索しましたか
- 候補は何件ありましたか。どんな点で比べましたか
- 決める前に、誰かに相談しましたか。その人は何と言いましたか
- 迷ったことや、不安だったことは何ですか
- 最終的に、決め手になったのは何ですか
- 使い始めて、最初につまずいたことはありますか
聞くときは、答えを誘導しないように、選択肢を示す前に自由に話してもらいます。録音の許可を取り、後で言葉をそのまま拾えるようにします。拾った言葉は、広告の見出しやLPの冒頭にそのまま使えることが多く、自分たちで考えた言い回しより反応が良いことがあります。
CRMのデータでペルソナの見立てを確かめる
インタビューで見えた共通点が、実際の顧客全体に当てはまるかどうかは、CRMのデータで確認できます。たとえば、ペルソナを「従業員30〜100人の製造業の総務担当」と仮置きしたなら、過去の受注の中で、その条件に当てはまる割合を数えます。当てはまる件数が少ないなら、ペルソナが現実の主力顧客とずれている可能性があります。逆に、想定していなかった業種や役職からの受注が多いなら、そちらが本当の主役かもしれません。
この確認には、CRMの項目がそろっている必要があります。業種や従業員数、問い合わせ時の職種が入力されていないと数えられないため、入力の見直しも合わせて進めます。入力が定着していない場合は、先にその仕組みを直したほうが、ペルソナ以前の問題が片付きます。
顧客がまだ少ないときの代わりの集め方
顧客の記録が少ない段階でも、情報源はあります。Search Consoleに表示された検索語は、サイトを訪れた人がどんな言葉で探しているかの手がかりです。問い合わせフォームの自由記述欄に、「どんなことでお困りですか」という質問を置いておくと、お客様の言葉が少しずつたまります。営業の初回面談で、「今回、お問い合わせいただいたきっかけは何でしたか」を毎回聞く運用にしておくと、ペルソナの「きっかけ」の欄を、時間をかけて実際の言葉で埋めていけます。
集めた言葉は、スプレッドシートの1列に日付と一緒に貼っておきます。数が増えたら、似た内容をまとめて、出現の多いものから並べます。ペルソナを作るときの材料が、すでにそろっている状態になります。
支援の現場から(オンライン英会話スクール)
オンライン英会話スクールで、失注した1,031件の理由を数えると、本人(お子さん)の意思が40%、連絡がつかないが28%で、上位3つの理由で94%を占めていました。ところが申込時のアンケートには、この3つにかかわる質問が1つもなく、聞いていたのは保護者の期待だけでした。
アンケートを17問に作り直し、お子さん本人の様子や希望のペースを聞くようにしています。ペルソナも、こうした実際の失注理由から逆に組み立てると、想像で書いたものより使える形になります。
BtoCのペルソナ項目テンプレート
BtoCでは、個人の生活や価値観が購入に近いため、その人の一日と感情が見える項目を入れます。基本情報、状況、課題、情報の探し方、決め方の5つのまとまりで作ります。

| まとまり | 項目の例 | 書き方 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 年代、家族構成、住まい、仕事、収入の目安 | 施策に関係のある範囲だけ。関係がなければ書かない |
| 状況 | どんな出来事のあとに、探し始めたか | 「引っ越しが決まって」「子どもの進学が近づいて」のように出来事で書く |
| 課題・欲求 | 何に困っているか、何が叶えばうれしいか | 本人の言葉に近い言い方で書く |
| 情報の探し方 | よく使う検索語、SNS、口コミサイト、相談相手 | 検索語は実際のデータから拾う |
| 決め方・不安 | 比べる点、決め手、ためらう理由 | 価格、時間、失敗への不安など、具体的に |
年齢や性別などの基本情報は、書きすぎないことがコツです。たとえば「35歳・女性・東京都在住・年収500万円・趣味はカフェ巡り」のように細かく書いても、広告の訴求を決める役には立ちません。趣味が購入に関係しないなら、その行は消します。基本情報はあくまで背景で、状況と課題が主役です。
BtoCの記入例:仮定のペルソナ(習い事の体験を探す人)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 基本情報 | 30代、共働き、自宅から通える範囲で探している |
| 状況 | 転職で平日の夜に時間ができ、新しく何か始めたいと思った |
| 課題・欲求 | 運動不足を解消したいが、続かなかった経験がある。無理なく続けられる場所が知りたい |
| 探し方 | 「地域名+教室名」で検索し、口コミと体験の有無を見る。SNSで雰囲気を確かめる |
| 決め方・不安 | 体験で雰囲気が合うか、月額のほかに費用がかからないか、通う曜日を変えられるか |
この例は仮定です。実際に作るときは、体験に来た人へのアンケートや、入会に至った人の予約時の記録から、「状況」と「不安」の欄を実際の言葉で埋めます。
BtoBのペルソナ項目テンプレート:個人と組織、購買の役割を分けて書く
BtoBでは、買う人が一人とは限りません。実務の担当者が調べ、上司が決裁し、情報システムや経理が条件を確認する、といった形で複数人が関わります。ペルソナも、主役となる一人と、その人を取り巻く組織の条件を分けて書きます。
| まとまり | 項目の例 | 書き方 |
|---|---|---|
| 組織の情報 | 業種、従業員数の規模、拠点数、現在使っているツール | 数字の幅で書く(例:従業員30〜100人) |
| 本人の役割 | 職種、役職、評価されること、日々の業務で困っていること | 「何で評価されるか」を書くと、響く言葉が決まる |
| 購買での役割 | 調べる人、使う人、承認する人のどれか。承認者は誰か | 決裁までに誰に何を説明するかを書く |
| きっかけ | 探し始めた出来事(担当者の退職、法改正、増員、トラブルなど) | 時期や頻度も分かる範囲で書く |
| 情報の探し方 | 検索語、比較に使うサイト、同業の知人、展示会、セミナー | Webと人づての両方を書く |
| 決め方・不安 | 比較の基準、稟議で聞かれること、失敗したときの影響 | 「失敗したら誰に何を言われるか」まで書くと実態に近づく |
BtoBでは「承認者」を別のペルソナとして用意する場合もあります。実務担当者には使い勝手や手間の話が響き、承認者には費用対効果やリスクの話が響く、といった違いがあるからです。ただし最初から複数のペルソナを作ると、運用が重くなります。まず主役を一人に絞り、承認者は「稟議で聞かれること」の一行で補うところから始めます。
作り方の手順:5ステップで組み立てる
手順は次の5つです。1〜3で事実を集めて整理し、4〜5で人物としてまとめて使える形にします。

- 目的を決める。広告の訴求を決めるのか、サイトを作り直すのか、新サービスを企画するのか
- 情報を集める。インタビュー、CRM、GA4、営業の声から最低2つ
- 共通点を拾う。同じ状況、同じ言葉、同じ迷い方を書き出して、何度も出てくるものに印を付ける
- 一人の人物にまとめる。共通点を一人の中に収め、状況・課題・探し方・決め方を書く
- 使い方を決め、実在のお客様で確かめる。どの施策の判断に使うかを決め、近い顧客に見せて違和感がないか聞く
3の「共通点を拾う」で、よく起きるのが、1件だけの強い話を採用してしまうことです。インタビューで最も印象的だった話は、他の人にも当てはまるとは限りません。3人以上で共通して出た内容を中心に据え、少数の話は「例外として別に残す」扱いにします。
5の確認では、実際のお客様に「この人物は、あなたに近いですか」と聞く必要はありません。営業担当に見せて、「この人はよく見かける」「この人は私たちのお客様ではない」と反応をもらえば足ります。違和感が出たら、その箇所を直します。
一枚にまとめるときの書き方
できあがったペルソナは、A4一枚、読むのに2分で終わる量にまとめます。長いと、読まれなくなります。次の順で並べると、上から読むだけで人物が分かります。
- 一行の紹介(例:製造業の総務担当、経理の引き継ぎで申請システムを探している)
- きっかけと状況(探し始めた出来事と時期)
- 困りごとと、本人の言葉(インタビューで出た言葉をそのまま2〜3個)
- 情報の探し方(検索語、比較先、相談相手)
- 決め方と不安(比べる基準、ためらう理由)
- この人に見せたいもの(記事、事例、資料、LPの内容)
- 根拠(何件のインタビューと、どのデータから作ったか)
末尾の「根拠」は小さな行ですが、後から読む人が「これは想像か、事実か」を判断する材料になります。ペルソナが議論の的になったとき、根拠の行があれば、「このインタビューの結果」という会話に戻れます。
「いつ探し始めるか」という状況まで書く:ペルソナを使えるものにする要素
ペルソナの項目の中で、特に差が出るのが「状況」と「きっかけ」の欄です。年齢や役職が同じ人でも、今まさに探している人と、まだ探していない人では、響く言葉も、見てほしいページも違います。
たとえば、同じ「総務担当」でも、担当者が急に辞めて引き継ぎが必要になった人は、「すぐ使える」「引き継ぎしやすい」という言葉に反応します。一方で、課題を感じていても緊急ではない人は、「他社はどうしているか」という事例や比較の情報を求めます。同じ属性の人に、状況の違いが2〜3パターンあれば、それぞれを別の記事や広告の入口として設計できます。
状況の聞き方は、インタビューで「そもそも、いつごろ、何があって調べ始めましたか」と時系列で聞くのが近道です。「何が課題でしたか」と聞くと一般論が返ってきやすく、「その前の週に何があったか」と聞くと、具体的な出来事が出てきます。出来事の例は、人員の変更、法律や制度の変更、既存ツールの契約更新、取引先からの要請、前年度の数字の悪化などです。

ポイント
属性が同じペルソナを何枚も作るより、一枚のペルソナの中に「きっかけ」を2〜3種類並べるほうが運用しやすくなります。きっかけごとに、広告の文面やLPの冒頭を変える、という形で使えるからです。
BtoBの記入例:仮定のペルソナ(業務の効率化を探す総務担当)
ここでは、書き方の見本として、仮定のペルソナを一つ書いてみます。実在の企業や数字はなく、記入の粒度を示すためのものです。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 組織 | 製造業、従業員50人前後、総務・経理を少人数で兼務している |
| 本人 | 総務担当。紙とExcelでの申請処理に、毎月まとまった時間を取られている。評価されるのは「ミスなく期日どおり」 |
| 購買での役割 | 調べて候補を絞る人。決裁は社長で、説明には費用と、導入後の手間の見通しが必要 |
| きっかけ | 経理の担当者が産休に入り、引き継ぎの手間が増えると気づいた |
| 探し方 | 「申請 システム 中小企業」のように、業務名と規模で検索する。比較サイトと、同業の知人の話を見る |
| 決め方・不安 | 現場が使ってくれるか、費用が後から増えないか、自分が運用を背負いこまないか |
| この人に見せたいもの | 規模別の導入の進め方、費用の考え方、運用負荷を示した資料 |
この例のポイントは、「何を売るか」ではなく「この人が何を知りたいか」が書かれていることです。最後の行の「この人に見せたいもの」を書くと、ペルソナが具体的な施策に直結します。
ペルソナの使い方:広告・LP・コンテンツ・営業で何を決めるか
ペルソナは、作って終わりではなく、日々の判断に使うものです。使いどころを、具体的に決めておきます。
- 広告:検索語や見出しの言葉を、ペルソナの探し方と困りごとの言葉に寄せる。広告の見出しがきっかけの出来事を直接指す形にして、反応が変わるかをテストする
- LP:冒頭の一文を、ペルソナのきっかけと課題に合わせる。ペルソナの不安に一つずつ答える順番で内容を並べる
- コンテンツ:記事のテーマを、ペルソナが調べる順番に並べる。まず用語の解説、次に比較、最後に費用や進め方の順に用意する
- 営業:ヒアリング項目に「きっかけ」と「決め方」を入れ、ペルソナと比べて、どこが違うかを記録する

広告やサイトの改善でペルソナを使うときは、カスタマージャーニーマップと組み合わせると、ペルソナの「きっかけ」から「問い合わせ」までの動きを段階ごとに見られます。ペルソナで「誰か」を決め、マップで「どう動くか」を見る、という分担です。ターゲットの絞り込みの考え方はSTP分析で、競合や自社の整理は3C分析で整理でき、それらの前提をマーケティングの上流設計としてまとめておくと、ペルソナの方向がぶれません。
文面での使い方:ペルソナを入れる前と後(仮定の例)
先ほどの総務担当のペルソナを使って、広告の見出しとLPの冒頭を直す例を挙げます。ペルソナがないと、サービスの特長を並べる文面になりやすく、ペルソナがあると、相手の状況から書き始められます。
| 場所 | ペルソナなし | ペルソナあり |
|---|---|---|
| 広告の見出し | 業務を効率化する申請システム | 担当者の引き継ぎ、紙の申請のままで大丈夫ですか |
| LPの冒頭 | 多機能で使いやすい申請システムです | 少人数の総務・経理でも、引き継ぎに困らない申請の整え方をご紹介します |
| LPの不安への答え | 機能一覧 | 現場が使い続けるための工夫、費用が増える条件、運用に必要な人数 |
右の列は、ペルソナの「きっかけ」と「不安」をそのまま言葉にしただけです。文面に正解はなく、実際の反応は広告の管理画面やGA4の数字で確かめます。ペルソナを入れた文面と入れない文面を並べてテストすれば、ペルソナの見立てが合っているかも分かります。クリック率や問い合わせ率が変わらないなら、ペルソナのきっかけや不安の欄が外れている可能性があるので、インタビューで聞き直します。
ペルソナの見直しの目安
ペルソナは、次のようなときに見直します。
- 新しいサービスやプランを出して、顧客層が変わったとき
- 広告やLPの反応が、直近で大きく変わったとき
- 営業から「最近の相談は、これまでと違う」と声が上がったとき
- 制度の変更や景気の変化で、お客様の状況が変わったとき
見直しは、元の書類を直すより、新しいインタビューを2〜3件追加して、元の内容と違うところを探すほうが早く進みます。違いが小さければ、そのまま使い続けて構いません。
使われないペルソナの特徴と、直し方
作ったのに誰も見なくなるペルソナには、共通の特徴があります。

- 想像で書かれている。根拠の情報源を1行で添え、仮説なら仮説と書く
- 属性が細かすぎる。趣味や出身地など、施策に関係しない行を消す
- 状況やきっかけがない。インタビューで「探し始めた出来事」を聞き直して足す
- 見る場所がない。共有フォルダの奥に置かず、広告やLPの企画シートの最初に貼る
- 人数が多すぎる。まず1〜2人に絞る。使われて初めて、2人目を足す
- 更新しない。商品や広告が変わったとき、年に1回は、顧客の記録と見比べて直す
もう一つ、注意したいのは、ペルソナを「理想の顧客」にしてしまうことです。理想のお客様は、現実には少数です。現在のお客様の主要な層を描き、その中から「もっと増やしたい層」を選んで描くほうが、現実の施策に使えます。
よくある質問
Q. ペルソナは何人作ればよいですか?
最初は1〜2人です。数が増えるほど、一人あたりの情報が薄くなり、運用も重くなります。主要な顧客層が明らかに2つに分かれるなら2人、そうでなければ1人で始めて、使いながら増やします。
Q. 名前や顔写真は付けたほうがよいですか?
付けなくても使えます。名前や写真を付けると、人物として思い浮かべやすくなる利点はありますが、実在の人物の写真を無断で使うことは避けます。イラストや仮の名前で足ります。名前よりも、状況と課題の中身に時間をかけてください。
Q. 顧客データが少ない新規事業では、どう作ればよいですか?
見込みのお客様に近い人へのインタビューから始めます。顧客がまだいない段階では、「仮説のペルソナ」として作り、事業が動いて顧客が増えたら、実際の記録で書き直します。検索語の需要は、Googleキーワードプランナーなどで確認できます。
Q. ターゲットとペルソナ、どちらを先に決めますか?
ターゲットを先に決めます。どの層を狙うかが決まってから、その層の代表的な一人を描くのが自然な順番です。ターゲットが決まらないまま描くと、一人の特殊な事情に引きずられやすくなります。
Q. 個人情報の扱いで注意することはありますか?
インタビューや記録から作る場合、ペルソナ本体には個人が特定される情報(氏名、勤務先、連絡先)を入れません。元になった記録は、アクセス権のある場所で管理し、インタビューでは、使う目的を先に伝えて同意を取ります。
まとめ:ペルソナは事実から組み立て、「きっかけ」まで書いて施策に使う
ペルソナは、共通の相手をイメージするための道具です。想像でそれらしく描くのではなく、顧客の記録とインタビューから共通点を拾い、探し始めたきっかけや決め方まで書くと、広告・サイト・営業の判断に使えるようになります。
- ターゲットは「層」、ペルソナは「その層の代表的な一人」。複数人で同じ相手を思い浮かべる必要があるときに作る
- 情報源はインタビュー、CRM、Webの行動データ、現場の声から最低2つ。足りなければ仮説と明記する
- BtoBは個人と組織、購買での役割を分けて書き、主役を一人に絞る
- 「いつ、何があって探し始めたか」を書くと、広告やLPの文面に直結する
- 見る場所に置き、使う場面を決め、年に1回は顧客の記録と見比べて直す
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この記事を書いた人
株式会社Nexly 代表 大林 諒。広告運用、kintone・SalesforceなどのCRM構築、業務の自動化とAI活用を中心に、マーケティングの設計から実行まで中小企業の支援をしています。自社でも転職エージェント「Re:WORK」を運営し、広告・SEO・CRMを日々回しています。