カスタマージャーニーマップの作り方|手順・テンプレートと例
カスタマージャーニーマップは、お客様が商品やサービスを知ってから買う、さらに使い続けるまでの流れを、時間の順に一枚へ並べた図です。段階ごとに「何をしているか」「どこで接点を持つか」「何を考え、どこで迷うか」を書き込み、最後に自社が打てる施策へつなげます。作り方の要点は、きれいな図を作ることではなく、お客様の行動を一つずつ確かめて、直す場所を見つけることにあります。
この記事では、マップに入れる項目、作る手順、BtoBとBtoCの例、作ったあとに施策とKPIへつなげる方法をまとめます。Nexlyは広告運用やGA4の計測設計、CRMの構築を支援していて、マップは「広告の前に、どの段階のどこが詰まっているかを見る道具」として使うことが多いです。そのときの進め方をそのまま書いています。
この記事でわかること
- カスタマージャーニーマップの項目と、そのまま使える記入シートのひな形
- 目的と対象を決めてから、情報を集めて埋めるまでの7つの手順
- BtoB(Webからの問い合わせ)とBtoC(予約型サービス)の記入例
- マップから課題を拾い、施策とKPIへつなげる方法
- マップが飾りで終わる典型的な失敗と避け方
目次 [閉じる]
カスタマージャーニーマップとは?顧客の行動を時系列で一枚にした図
ジャーニーは「旅」の意味で、お客様が自社と出会ってから購入し、その後の利用や再購入に至るまでの道のりを指します。マップはその道のりを、横軸に時間(段階)、縦軸に行動・接点・感情などの項目を取って整理した表や図です。
よく混同されるのが、営業やマーケティングの現場で使う「ファネル」です。ファネルは認知から購入までの人数の減り方を見る図で、数字を追うのに向いています。マップは数字ではなく、一人のお客様の目線で「その人は今何をしていて、何に困っているか」を追います。ファネルが「どこで人が減っているか」を教えてくれるなら、マップは「なぜそこで減るのか」を考える材料になります。

マップの価値は、社内の人が持っているお客様のイメージをそろえられる点にもあります。営業は「価格で迷う人が多い」と言い、広告担当は「そもそも比較されていない」と言い、サポートは「導入後に使い方が分からず止まる人が多い」と言う。それぞれ別の段階の話をしているだけのことが多く、一枚に並べると全員の話がつながります。
作る前に決める3つのこと:目的・対象・範囲
マップ作りで最初に失敗しやすいのは、何のために作るのかを決めないまま、項目を埋め始めることです。次の3つは、手を動かす前に決めておきます。
目的:マップで何を決めたいのか
目的は「問い合わせが伸びない原因を探す」「契約後の解約を減らす」「新サービスの訴求を決める」のように、決めたいことの形で書きます。目的が違えば、見るべき段階の深さが変わります。問い合わせ数が課題なら、認知から問い合わせまでを細かく切り、購入後はざっくりで足ります。解約が課題なら逆です。
対象:誰のジャーニーを描くのか
対象は一人のお客様像に絞ります。BtoBなら「購入を決める人」と「検討を担当する人」が別のことが多いので、まず主役を一人決めます。複数の顧客層を一枚に混ぜると、どの層にも当てはまらない平均的な図になり、施策に落とせません。層が複数あるなら、層ごとに別の紙で作ります。誰を描くかはペルソナの作り方で書いた手順で決められます。
範囲:どこからどこまでを描くのか
範囲は、最初の接点から、どの状態になったらゴールとするかまでです。「Webで初めて知ってから、問い合わせフォームを送るまで」のように、まず短く切って始めるほうが、集める情報の量も現実的になります。範囲を広げたくなったら、一枚目ができてから足します。
マップに入れる6つの項目とテンプレート
項目は多すぎると記入が止まります。現場で使いやすいのは、次の6つです。まず段階を横に置き、それぞれの段階について、縦の項目を埋めていきます。
| 項目 | 書くこと | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| 段階 | 認知・興味・比較検討・購入(申込)・利用・継続など | 自社の実態に合わせて3〜6段階。名前は社内で通じる言葉でよい |
| 行動 | その段階でお客様が実際にしていること | 「検索する」「資料を探す」「社内で相談する」など動詞で書く |
| 接点 | その行動の場所・手段(検索、広告、SNS、紹介、営業、メールなど) | 自社の接点だけでなく、他社サイトや口コミも書く |
| 考え・感情 | そのとき頭にあること、不安や期待 | 「高いかもしれない」「失敗したくない」など本人の言葉に近づける |
| 課題 | 次の段階へ進むのを止めているもの | 事実(データ・声)に基づく。推測は推測と分ける |
| 施策 | 課題を減らすために自社が打てること | 誰が・いつまでに・何をするかが言える粒度で書く |
この6項目に加えて、余裕があれば「担当部署」と「測る数字」の行を足します。担当部署の行があると、課題が出たときに誰が動くかが決まります。測る数字の行は、後で触れるKPIの設計にそのままつながります。

ツールは、最初はスプレッドシートかホワイトボードで十分です。専用のマップ作成ツールもありますが、使い方を覚えることが目的になりやすく、一枚目はこだわらないほうが早く終わります。付箋を貼る形式でも、最終的に表にして共有できればかまいません。
作り方の手順:情報集めから施策への落とし込みまで7ステップ
手順は次の7つです。机上で埋めるだけの図にしないために、3番と4番でお客様の事実に触れる形にします。

- 目的と対象、範囲を一文ずつ書く(前の章で決めたもの)
- 段階を置く。迷ったら「知る→比べる→決める→使う→続ける」の5つで始める
- 事実を集める(インタビュー、CRMの記録、問い合わせ内容、GA4の行動データ、営業のメモ)
- 集めた事実から、段階ごとの行動・接点・考え・課題を埋める
- 空欄は無理に埋めず、「分かっていない」と書いて印を付ける
- 課題を並べて、影響が大きいものを1〜3個に絞る
- 絞った課題について、施策とKPI、担当と期限を決める
5番の「空欄を空欄のまま残す」は、意外と効きます。空欄は、自社がお客様について知らない箇所を示していて、次に聞くべきことのリストになるからです。想像で埋めた図は一見完成して見えますが、その後の議論で誰も根拠を示せなくなります。
6番で課題を絞る基準は、次の三つで十分です。お客様が離れやすい箇所か、自社で手を打てるか、小さく試して確かめられるか。三つとも当てはまる課題から着手すると、結果が早く見えます。
ワークショップ形式で作る場合の2時間の段取り
社内で複数人が集まって作るときは、段取りを決めておくと、議論が散らばりません。参加者は、営業、マーケ、サポートのそれぞれ1人ずつ、合計3〜5人が進めやすい人数です。
- 0〜10分:目的、対象、範囲を読み上げて確認する。ここで異論が出たら先に直す
- 10〜30分:事前に集めたインタビューや記録を、各自が付箋に一件一枚で書く
- 30〜70分:段階ごとに付箋を貼り、同じ内容をまとめる。足りない箇所は「不明」の付箋を貼る
- 70〜95分:段階ごとの課題を言葉にして、全員が3票ずつ投票する
- 95〜115分:票の多い課題について、施策を出し、担当と期限を決める
- 115〜120分:「不明」の付箋を、誰がいつまでに調べるかを決めて終わる
投票を入れるのは、声の大きな人の意見に引きずられないようにするためです。終わったら、その日のうちに写真を表に起こして共有します。翌日に回すと、決めたことの温度が下がります。
うまくいかないときの多くは、事前の情報集めが足りません。付箋が少ない、同じ付箋ばかりという場合は、その日は「不明」を洗い出す会に切り替えて、情報集めの宿題を割り振って終えるほうが、次回の質が上がります。
書き方の悪い例と直し方
同じ内容でも、書き方で使えるかどうかが変わります。記入が止まったときは、次の直し方を試します。
| 項目 | 使いにくい書き方 | 使いやすい書き方 |
|---|---|---|
| 行動 | 情報収集をする | 「業務名+困りごと」で検索し、上位3サイトを開いて比べる |
| 考え | 不安を感じている | 「費用が後から増えるのではないか」と気にしている |
| 課題 | 認知が低い | 比較の段階で、費用の決め方が書かれたページに出会えない |
| 施策 | SEOを強化する | 費用の考え方を説明する記事を、来月末までに1本公開する |
右の列は、誰かが画面を見て「確かに」と言える具体性があり、動く人と期限を足せば実行できます。左の列は間違いではありませんが、次の会議で同じ議論が繰り返される書き方です。
情報の集め方:インタビュー・CRM・GA4・社内の声
マップの中身は、集めた情報の質で決まります。情報源は大きく4つあります。
お客様へのインタビュー
得られるものが多いのは、実際に買ってくれた方への短いインタビューです。聞くのは「どう感じたか」より「何をしたか」の順番で、たとえば次のような質問です。
- 最初に課題を意識したのは、いつ、どんな出来事のときでしたか
- そのとき、最初に何で調べましたか(検索語、誰に聞いたか)
- 候補は他にいくつありましたか。どう比べましたか
- 決める前に、いちばん不安だったことは何ですか
- 最後の決め手は何でしたか。社内で誰に相談しましたか
5人程度でも、同じ箇所で同じ話が何度か出てきます。件数の多さより、共通して出てくる話を拾うつもりで聞きます。
インタビューを頼むときの進め方
お客様への依頼は、営業やサポートの担当者から一言添えてもらうと受けてもらいやすくなります。時間は30分、形式はオンラインで、録音の許可を最初に取ります。謝礼や次回割引のような形で返す会社もありますが、まず「サービス改善のために、購入前後の流れを聞かせてほしい」という目的を正直に伝えるほうが、本音が出ます。
聞く側は、答えを誘導しないように気を付けます。「価格が高くて迷いましたか」と聞くと、そうでなくても「はい」と答える人が出ます。「決める前に、いちばん気になったことは何でしたか」と開いた形で聞き、出てきた言葉をそのままメモします。メモはその場で段階に分類せず、後で付箋にするときに仕分けます。
終わったら、24時間以内に要点を書き起こします。時間が空くと、「なんとなくこういう話だった」という印象に置き換わってしまい、細かい言葉が失われます。
CRMや営業の記録
SalesforceやkintoneなどのCRMには、問い合わせ元、商談の経過、失注理由が残っています。失注理由が自由記述のままだと使いづらいので、見るのは「商談が止まった段階」と「営業メモに繰り返し出る言葉」です。入力が足りないと感じたら、先にそれを直したほうが、マップ以前の問題を解けます。
GA4などのアクセスデータ
Webの接点については、GA4で「どのページを見て、どこで離れたか」「問い合わせに至った人はどの経路から来たか」を確認できます。問い合わせの完了をGA4で数えていない場合は、先にGA4のキーイベント設定を整えておくと、この段階のデータが取れます。広告やメールからの流入を区別するには、UTMパラメータの命名をそろえておく必要があります。
営業・サポートの声
お客様と毎日話している担当者の記憶は、貴重な情報源です。ただし、印象が強かった一件に引きずられやすいので、記録と突き合わせて使います。
BtoBとBtoCの記入例:Webから問い合わせ、予約が入るまで(仮定の例)
BtoB:Webから問い合わせが来るまで
ここでは、業務システムの導入支援を行うBtoBサービスを仮定し、検討担当者が最初に検索してから問い合わせフォームを送るまでを描いてみます。数字や会社は出てきません。あくまで書き方の見本です。

| 段階 | 行動 | 考え | 課題 | 施策の方向 |
|---|---|---|---|---|
| 課題に気づく | 現場からの不満を受け、ネットで調べる | 何から調べればいいか分からない | 用語が分からず検索語が定まらない | 初心者向けの解説記事を用意する |
| 情報収集 | 解説記事や資料を読む | 自社に当てはまるのか知りたい | 自社規模の話が見つからない | 規模別の進め方の記事を足す |
| 比較 | 複数社のサイトを並べて見る | 違いが分からない、失敗したくない | 進め方や費用の考え方が書かれていない | 進め方・費用の決め方を公開する |
| 社内の合意 | 上司に説明資料を作る | 稟議で聞かれる点に答えたい | 説明に使える資料がない | 稟議向けの資料をダウンロードできるようにする |
| 問い合わせ | フォームを開く | 営業されたらいやだ | 入力項目が多く、何が起きるか分からない | 項目を減らし、返信の流れを書く |
この例で注目したいのは、「課題」の列が、広告やSEOで解ける問題と、サイトの作りで解ける問題に分かれる点です。最初の2段階は検索で見つけてもらう施策、後半はページの内容とフォームの改善に当たります。マップを作ると、広告費を増やす前に直せる場所が見えることが多いです。
BtoBでは、一人の検討担当が上司や他部門を説得する過程が入ることも特徴です。「社内の合意」の段階は、自社のサイトで見えにくいのですが、お客様が最も時間をかける箇所のひとつです。ここを支える資料は、営業が商談で使うものを公開用に直すだけで足りることもあります。
BtoC:予約型サービスを知ってから初回利用まで
BtoCでは、検討の期間が短く、感情や口コミの影響が大きくなります。たとえば、体験レッスンの予約を受け付ける教室を仮定します。
| 段階 | 行動 | 接点 | 考え | 課題 |
|---|---|---|---|---|
| 知る | SNSや検索で教室を見つける | SNS、検索、知人 | 自分にもできるだろうか | 初心者の様子が伝わらない |
| 比べる | 料金と口コミを見る | 公式サイト、口コミ | 続けられる値段か知りたい | 追加費用の有無が分からない |
| 予約する | 体験を予約する | フォーム、電話、LINE | 日程が合うか心配 | 空き状況が見えない |
| 体験する | 当日教室に行く | 店舗、スタッフ | 雰囲気に合うか | 当日の流れが事前に分からない |
| 入会を決める | 持ち帰って家族と相談する | メール、LINE | 入会しないと損か考える | 体験後のフォローがない |
この例では、問い合わせの数ではなく「体験から入会に進む割合」に課題が出ています。広告で体験予約を増やしても、体験後のフォローが弱ければ、入会は増えません。マップを描いたあとに「どの段階の数字を追うか」を決めると、広告の成果の見方も変わります。
マップを施策とKPIにつなげる:課題から数字を決める
マップを作っただけでは、成果は変わりません。作ったあとの作業は、課題を施策に、施策を数字にすることです。流れは次のとおりです。

- 課題を一文で書く(例:比較の段階で、費用の決め方が分からず離れる)
- 解く施策を決める(例:費用の考え方を説明するページを公開する)
- 効いたかどうかを見る数字を決める(例:そのページを見た人の問い合わせ率、ページ閲覧後の資料請求数)
- 見る期間と、結果を見る担当を決める
数字を決めるとき、全体の問い合わせ数だけを追うと、施策の効果が埋もれてしまいます。施策を入れたページや段階に絞った数字を持っておくと、効果が見えます。数字の分解のしかたはKPIツリーの作り方にまとめています。
ポイント
課題は一度に3つまでに絞ります。10個の課題に全部手を付けると、どの施策が効いたのか分かりません。1つ試して結果を見て、次に進むほうが、結局は早く改善が積み上がります。
マップ全体を見る視点としては、上流の設計とセットで使うと進めやすくなります。マーケティングの上流設計で「誰に何を売るか」を決めたうえで、その人がどう動くかをマップで見ます。競合や市場の整理は3C分析で行い、対象の絞り込みはSTP分析で行う、という順番です。
段階ごとに追う数字の例
マップに「測る数字」の行を足すと、段階ごとにどこを見るかが決まります。ここでは、Webから問い合わせを取るサービスを想定した、段階と数字の対応の例を挙げます。数字の名前だけで、値は入れていません。自社の数字は、自社のGA4やCRMから取ります。
| 段階 | 追う数字の例 | 取る場所 |
|---|---|---|
| 知る | 検索や広告からのサイト訪問数、新規ユーザー数 | GA4、Search Console、広告管理画面 |
| 比べる | 比較に使われるページの閲覧数、ページ内の滞在、資料のダウンロード数 | GA4 |
| 決める | 問い合わせ数、フォームの到達数と完了数の差 | GA4のキーイベント、フォームの記録 |
| 商談 | 問い合わせから商談になった割合、商談から受注になった割合 | CRM |
| 続ける | 契約の継続率、追加購入の件数、解約理由 | CRM、請求管理 |
見ての通り、前半はGA4と広告の画面、後半はCRMの数字です。1つのツールで全部見ようとすると穴が出るので、段階ごとに見る場所を決めておきます。段階をまたぐ割合(たとえば問い合わせから受注まで)を見るには、広告や流入元の情報がCRMのレコードに残っている必要があります。フォームの送信時に流入元を一緒に保存しておくと、あとからこの割合が出せます。
段階と広告・サイト改善の対応
広告を運用している会社は、マップの段階と、広告や施策の種類を対応させると、予算の使いどころが整理できます。たとえば、「知る」の段階には検索広告やSNS広告、ディスプレイ広告で認知を広げ、「比べる」の段階には比較用ページや事例、リマーケティングで再度見てもらい、「決める」の段階にはフォームの改善と、問い合わせ後の返信の速さが効く、という具合です。
逆に、課題が「決める」の段階にあるのに、広告を増やして「知る」の人数だけ増やしても、問い合わせの単価は下がりにくいです。入口に人を集める前に、後ろの段階の穴を直すほうが、同じ広告費で得られる結果が変わります。広告の成果に違和感があるときは、数字を見る前にマップのどの段階の話をしているのかを確認すると、議論が噛み合います。
支援の現場から(オンライン英会話スクール)
オンライン英会話スクールで、受注のあとの動きを追うと、受注567件のうち159件(28%)が契約まで進んでいませんでした。その72%は、生徒の登録すらされていない段階で止まっています。
お客さまは「やめます」と言わずに離れていくので、キャンセルの選択肢を足すだけでは誰も入力しません。マップの受注から初回レッスンまでの段階を細かく分け、その間の工程を記録して追える形にしました。
よくある失敗と、避けるためのチェックリスト
マップが活きない原因は、だいたい次のどれかです。

- 想像だけで埋める:事実を集めずに会議室で作ると、社内の思い込みを清書しただけになります。インタビューか記録のどちらかは入れます。
- 顧客像が混ざる:何種類もの顧客を一枚に載せると、施策が薄まります。層ごとに分けます。
- 自社の接点だけを書く:お客様は他社サイトや口コミ、知人の紹介も見ています。自社が関わらない接点も行に残します。
- きれいな図が目的になる:色や形に時間をかけすぎて、課題と施策の議論に入れません。表の形で十分です。
- 施策に落とさない:課題の欄で止まっている場合は、担当と期限を付けて動かします。
- 作りっぱなしにする:商品や広告が変われば、お客様の動きも変わります。半年に一度は見直し、数字が動いたら更新します。
もうひとつ、よく起きるのが「営業と広告担当で段階の呼び名が違う」ことです。営業は「リード」、広告担当は「CV」、サポートは「新規のお客様」と呼んでいて、同じ人を指しているのに数字が合わない。マップを作る機会に、段階の名前と、その段階に入った・出たと判定する条件(フォームを送信した、初回の商談を実施した、など)を決めておくと、後でCRMとGA4の数字を並べて見られます。
見直すときは、前回決めた施策の結果から入ります。うまくいかなかった施策があれば、その理由を書き足すと、マップの精度が上がりやすくなります。
外部に頼むなら、どこまでを任せるか
マップ作りを外部に頼む場合、図の作成だけを依頼しても意味が薄くなります。インタビューの設計、CRMやGA4からのデータ抽出、課題の優先順位付け、施策の実行までを一続きで頼めるかが分かれ目です。Nexlyは、広告運用、計測設計、CRMの構築を実装まで含めて伴走していて、マップで出た課題をそのまま設定変更や仕組みづくりに移せます。Re:WORKという自社サービスでも、同じ考え方で段階ごとの数字を見ながら改善を回しています。
社内で進めるなら、最初の一枚は「営業担当1人とマーケ担当1人で、2時間で作る」くらいの軽さが続きます。完璧を求めず、空欄が見えた時点で動き出すほうが、次の一枚の質が上がります。
よくある質問
Q. カスタマージャーニーマップとペルソナは、どちらを先に作りますか?
ペルソナ(誰のジャーニーを描くか)を先に決めます。ただし完璧なペルソナを作る必要はなく、主役にする顧客を一人選べれば始められます。マップを作る中で、ペルソナの情報が足りない箇所が見えてくるので、行き来しながら直します。
Q. 何人くらいにインタビューすれば足りますか?
決まった人数はありませんが、同じ顧客層の5人前後に聞くと、共通する話が見えてくることが多いです。新しい話がほとんど出なくなった時点を、止めどきの目安にします。
Q. 段階は何個に分ければよいですか?
3〜6個が使いやすいです。細かく分けすぎると、記入と議論が重くなります。自社の営業プロセスやCRMの項目に合わせると、後でデータと結び付けやすくなります。
Q. BtoBでも感情を書く意味はありますか?
あります。BtoBでも、検討担当者は「失敗したら責任を問われる」「上司を説得できるか」といった不安を抱えています。その不安が、比較や稟議の段階で足を止める理由になることが多いので、感情の行は残しておきます。
Q. マップはどのくらいの頻度で見直しますか?
半年に一度が目安です。ただし、料金の変更、新サービスの開始、広告媒体の大きな変更があったときは、その段階の行だけ先に直します。見直しのきっかけは、日付より「お客様の動きが変わったと感じた出来事」に置くほうが現実的です。
Q. 小さな会社でも作る価値はありますか?
あります。むしろ顧客数が少ない会社のほうが、全員にインタビューできるので精度が上がります。社長や営業担当の頭の中にあるお客様の動きを、一度表にして共有しておくと、担当が増えたときの引き継ぎにも使えます。
まとめ:マップは事実で埋めて、課題から施策と数字につなぐ
カスタマージャーニーマップは、お客様の動きを一枚で見て、詰まっている場所を見つけるための道具です。きれいに作ることより、事実に基づいて課題を選び、施策と追う数字まで決めることに価値があります。
- 作る前に、目的・対象・範囲を決める
- インタビュー、CRM、GA4、現場の声という事実で埋め、分からない箇所は空欄のまま残す
- 課題は1〜3個に絞り、施策・担当・期限・追う数字まで一本につなぐ
- 顧客層ごとに分け、半年に一度は見直す
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この記事を書いた人
株式会社Nexly 代表 大林 諒。広告運用、kintone・SalesforceなどのCRM構築、業務の自動化とAI活用を中心に、マーケティングの設計から実行まで中小企業の支援をしています。自社でも転職エージェント「Re:WORK」を運営し、広告・SEO・CRMを日々回しています。