マーケティングの上流設計とは|広告を出す前に決める5つのこと
マーケティングの上流設計とは、広告やSEO、SNSといった施策を動かす前に、誰の・どんな課題を・どこで届けて・どこまでを成果とするかを決めておく工程です。決めることは大きく5つで、ターゲットの状況、選ばれる理由、出会う場所、成果の定義、データの持ち方です。問い合わせは来るのに受注につながらない、目標のCPAを聞かれても答えられない、といった悩みの多くは、広告の運用ではなくこの手前が決まっていないことから起きています。
この記事では、Nexlyが広告運用やCRM構築に入る前に先に決めている上流設計について、5つの決め方、売上から逆算する計算例、ターゲットの書き方、そのまま使える整理シートまでをまとめます。
この記事でわかること
- 上流設計で決める5つのことと、それぞれの決め方
- 売上から、必要な問い合わせ件数と広告費の上限を逆算する計算例
- 属性ではなく「状況」でターゲットを書くコツ
- 2〜4週間で進める手順と、そのまま使える整理シート
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マーケティングの上流設計とは|施策の前に決める前提のこと
広告の出稿、LPの制作、記事の執筆のように、実際に手を動かす工程を下流と呼ぶとすると、その前提を決める部分が上流です。上流で決めるのは、誰に売るのか、なぜ自社なのか、どこで出会うのか、何をもって成功とするのか、その数字をどこで見るのか、といった内容です。
上流という言葉からは、立派な戦略資料を作る作業を想像されるかもしれません。ですが実務では、A4で1〜2枚に収まる程度の整理で十分に機能します。大事なのは資料の見栄えではなく、広告担当者も営業も同じ紙を見て、同じ数字で話せる状態をつくることです。
上流が決まっていないと、媒体ごとの数字は見えても、それが売上にどうつながっているのかが分かりません。CPAが安い媒体に予算を寄せたら受注が減った、というのはその典型です。CPAそのものの考え方はCPAとは|計算方法・目安と、目標CPAの決め方で別にまとめています。

上流設計がないと起きること|現場でよく見る5つの症状
支援の現場でよく見るのは、次のような状態です。どれも施策の腕前の問題に見えますが、前提がそろっていないことが根にあるケースが多いです。
- CPAの目標が感覚で決まっていて、いまの数字が良いのか悪いのか判断できない
- CPAが安い媒体に予算を寄せたら、商談や受注が減った
- 営業は「リードの質が悪い」、広告担当は「件数は取れている」と言い、話がかみ合わない
- 広告の管理画面とCRMの件数が合わず、どちらが正しいかで揉める
- LPや広告文を何度も変えているのに、何が効いたのか分からない
とくに三つ目は、成果の定義が部署ごとに違うことから起きます。広告担当にとっての成果は「問い合わせフォームの送信」で、営業にとっての成果は「話を聞いてもらえる相手との商談」です。この間をつなぐ数字、つまり問い合わせから商談になる率が見えていないと、お互いに相手の問題だと感じてしまいます。
もうひとつ、広告を止めたくなる場面でも上流が効きます。CPAが急に悪化したとき、設計があれば「どの段階が崩れたか」を順に見ていけます。切り分けの手順は広告のCPAが急に悪化したときの原因の切り分け方にまとめています。
広告を出す前に決める5つのこと
1. 誰の、どんな状況の課題を解決するのか
ターゲットを「30代女性」「中小企業の経営者」のように属性だけで決めると、広告文やLPの訴求がぼやけます。決めたいのは、その人がどんな状況にいて、何に困っていて、いつ探し始めるのかです。
同じ中小企業の経営者でも、採用が進まず求人を出しても応募が来ない人と、人は足りているが離職が続いている人では、検索する言葉も響く訴求もまったく違います。状況まで書ければ、広告文もLPの見出しも決めやすくなります。書き方の具体例は次の章で扱います。ペルソナとして文書にしたい場合は、ペルソナの作り方も参考になります。
2. なぜ自社が選ばれるのか
競合と比べて自社が選ばれる理由を、顧客の言葉で書き出します。「品質が高い」「丁寧な対応」のように、どの会社でも言えることは理由になりません。実際に契約してくれた顧客に、なぜ他社ではなくここにしたのかを聞くのがいちばん確実です。
聞く相手が3人いれば、共通する理由は見えてきます。選ばれる理由がはっきりすると、どの検索キーワードで勝負するか、どの訴求で出稿するかが決まります。逆にここが曖昧なまま広告を出すと、価格の比較になりやすく、CPAも上がりがちです。競合と自社を整理する方法は3C分析で詳しく書いています。
3. どこで出会うのか
ターゲットが課題に気づいてから契約するまでに、どこで情報を集めるかを考えます。いますぐ解決したい人は検索で探し、課題をはっきり自覚していない人はSNSや記事で偶然出会い、比較している人は口コミや比較サイトを見ます。検討の段階によって、出会う場所は変わります。
この整理をしておくと、媒体ごとに期待する役割が決まります。すべての媒体に同じCPAを求めるのではなく、「この媒体はいま探している人を取る」「この媒体は将来の見込み客を増やす」と分けて評価できます。段階ごとの行動を細かく置きたい場合はカスタマージャーニーマップの作り方が使えます。
4. どこまでを成果とするのか
成果を問い合わせ件数だけで見ていると、件数は取れても受注につながらない状態になります。問い合わせ、商談、受注の各段階で、何件必要かを売上から逆算して決めます。計算の仕方は次の章で示します。
5. データをどこで、どう持つのか
4で決めた各段階の数字を、どこで計測するかを決めます。広告の管理画面で見られるのは多くの場合、問い合わせ(コンバージョン)までです。商談や受注はCRMや管理表で追うことになるので、問い合わせがどの広告・どの媒体から来たのかをCRMに残しておかないと、媒体ごとの受注率は計算できません。
流入元を残すには、広告のリンク先URLにUTMパラメータを付け、フォーム送信のときにその値を一緒に保存する方法が一般的です。付け方はUTMパラメータとは|付け方・命名ルールとGA4での見方で説明しています。
ポイント
5つのうち、後から取り戻せないのは5番目のデータです。ターゲットや訴求は広告を回しながら直せますが、流入元を保存していなかった期間の問い合わせは、どの広告から来たのかを後から知る手段がほとんどありません。広告を出す前に、ここだけは先に決めておく価値があります。
売上から逆算して、必要な件数と広告費の上限を決める
成果の定義を決める作業は、掛け算を逆向きにたどるだけです。ここでは、受注目標から必要な問い合わせ件数と広告費の上限を出してみます。数字はすべて計算のために置いた仮の値で、どの業種のものでもありません。
| 項目 | 置いた数字(仮) | 計算 |
|---|---|---|
| 月の受注目標 | 10件 | 目標として置く |
| 商談からの受注率 | 25% | 過去の実績から |
| 必要な商談数 | 40件 | 10件 ÷ 25% |
| 問い合わせから商談になる率 | 40% | 過去の実績から |
| 必要な問い合わせ数 | 100件 | 40件 ÷ 40% |
| 受注1件あたりの売上 | 50万円 | 過去の実績から |
| 広告費に回せる割合 | 売上の20% | 粗利や他の費用から決める |
| 月の広告費の上限 | 100万円 | 50万円 × 10件 × 20% |
| 許容できるCPA(問い合わせ1件) | 1万円 | 100万円 ÷ 100件 |
この計算で出てくる1万円が、問い合わせ1件あたりの目標CPAです。「なんとなく1万円以内」ではなく、売上と受注率から導いた数字になっています。

この表のよいところは、どの数字が動くとCPAの許容値がどう変わるかが見えることです。たとえば商談化率が40%から30%に下がると、同じ10件の受注に必要な問い合わせは約133件になり、同じ広告費100万円なら許容CPAは7,500円ほどまで下がります。逆に営業側の改善で受注率が25%から30%に上がれば、必要な商談は約33件に減り、広告に使える余裕が生まれます。
もうひとつ、媒体の評価も変わります。問い合わせ単価が1万円を超えている媒体でも、商談化率や受注率が高ければ、残す理由があります。反対に、CPAが安くても商談にならない問い合わせばかりの媒体は、予算を寄せるほど営業の時間を奪います。この判断をするには、媒体別に商談化率と受注率が見える必要があり、それが5番目の「データの持ち方」につながっています。
広告費を売上の何割にするかは、業種や粗利によって大きく変わります。出典のある平均値には頼らず、自社の粗利と、広告以外にかかる費用から決めるのが安全です。ROASで同じ考え方をしたい場合は、ROASとは|計算方法とCPAとの使い分けが参考になります。
支援の現場から(オンライン英会話スクール)
オンライン英会話スクールで、月のリード目標から逆算したところ、そのときのリード単価は約3.9万円で、目標に届くには約2.1万円まで下げる必要があると分かりました。過去でいちばん良かった月でも届いていない水準です。
あわせて調べると、お金のかからないリードの経路が細っていました。LPに直接来る申込は月47件前後から20件に減っていて、しかもこの経路の受注率は40%と、Google(19%)やMeta(12%)より高い経路でした。広告の単価を下げる前に、この経路を戻すほうが目標に近いと分かります。
ターゲットは属性ではなく「状況」で書く
上流設計でいちばん差が出るのが、ターゲットの書き方です。ここでは、社会人向けの英会話スクールを仮に置いて考えます。実在のスクールではなく、書き方を見せるための想定です。
属性だけで書くと「30〜40代の会社員」になります。これだと広告文は「ビジネス英語を身につけよう」のような、どのスクールでも言える内容に寄っていきます。
状況まで書くと「来年から海外拠点との会議に出ることになり、英語で話せないことに焦っているが、仕事が忙しく通学の時間が取れない30代の会社員」になります。ここまで書くと、「会議で使う英語に絞る」「夜でも受けられるオンライン」「3か月で会議に出られる状態をめざす」といった訴求が自然に出てきます。探し始めるきっかけが「会議に出ることが決まったとき」だと分かれば、検索キーワードも、広告を強めるタイミングも決めやすくなります。

状況を書くときは、次の4つを埋めると形になります。
- いまどんな状態か(仕事、家族、予算、使える時間)
- 何に困っているか(本人の言葉で)
- 探し始めるきっかけは何か(異動、法改正、繁忙期、失敗など)
- 決めるときに比べるものは何か(価格、期間、実績、相性)
BtoBの場合は、ここに「決める人と使う人が違う」という要素が加わります。担当者が探して、上司や経営者が承認するなら、LPには担当者が社内で説明するための材料も必要です。ターゲットを1人に絞りきれないときは、まず決裁者と担当者を分けて書くと整理しやすくなります。
媒体ごとの役割を決める|すべてに同じCPAを求めない
出会う場所を決めたら、媒体ごとに期待する役割を言葉にします。検索広告とSNS広告に同じCPAを求めると、SNS広告は「高い」と評価されやすくなります。役割が違うからです。
| 検討の段階 | ターゲットの状態 | 出会いやすい場所の例 | 見る数字の例 |
|---|---|---|---|
| 顕在(いますぐ) | 課題を自覚し、解決策を探している | 検索広告、指名検索、比較サイト | CPA、商談化率 |
| 比較検討 | 数社に絞って違いを見ている | 事例・比較記事、口コミ、リターゲティング | 再訪率、資料請求数 |
| 潜在(まだ自覚が薄い) | 困りごとはあるが解決策を知らない | SNS広告、記事、動画 | リーチ、サイト訪問数、後日の指名検索 |
潜在層向けの施策は、直接の問い合わせ件数では測りにくいのが実情です。かといって測れないからやらない、とするのも違います。「この施策は問い合わせ数ではなく、後日の指名検索や再訪で見る」とあらかじめ決めておけば、半年後に効果を話せます。この約束がないと、数字が出ないまま予算だけが削られる展開になりやすいです。

なお、どのターゲットに絞るか、競合とどこで違いを出すかを理屈で組み立てたい場合は、STP分析の手順がそのまま使えます。
計測の準備|流入元をCRMに残すところまで
上流設計が絵に描いた餅にならないかどうかは、5番目の計測の準備で決まります。やることは多くなく、広告のリンク先に流入元の目印を付け、フォーム送信のときにその値を保存し、CRMのステータスの意味をそろえる、の3つです。
まず目印です。広告のリンク先URLに、媒体・キャンペーンなどを表すUTMパラメータを付けます。次にフォームです。送信時に、その目印を隠し項目として一緒に送るようにしておくと、問い合わせ1件ごとに「どの広告から来たか」が残ります。最後にCRMです。商談中、受注、失注、といったステータスの意味が人によって違うと、せっかく集めた流入元の情報が使えません。「商談」とは初回の面談が終わった時点なのか、見積もりを出した時点なのかを、営業と広告担当で一緒に決めます。

これができていると、媒体別に「問い合わせ件数、商談化率、受注率、受注1件あたりの広告費」が並べられます。ここまで見えて初めて、広告の予算配分を数字で話せます。CRMがうまく使われない場合の立て直しは、kintone・Salesforceが現場で使われない原因と立て直し方に書きました。GA4の側で問い合わせを数える設定は、GA4のキーイベント設定が手順です。
上流設計の進め方|2〜4週間で1枚にまとめる
上流設計に何か月もかける必要はありません。進め方の目安は2〜4週間で、次の順です。広告を止めずに並行して進められます。
- 現状の数字を集める。過去数か月の問い合わせ・商談・受注の件数と、媒体ごとの費用を並べます
- 既存顧客の話を聞く。なぜ選んだのか、どこで知ったのか、何に困っていたのかを3〜5人に聞きます
- ターゲットと選ばれる理由を言葉にする。状況、課題、探し始めるきっかけまで書きます
- 売上から逆算して、各段階の目標件数と許容CPAを決める
- 媒体ごとの役割と、計測の仕組み(流入元の保存、CRMのステータス)を決める
顧客に話を聞く工程は、時間がかかるので後回しにされがちです。ですが、ここで聞いた言葉がそのまま広告文やLPの見出しになるので、全体のなかでも費用対効果の高い作業のひとつです。聞くときは「なぜうちを選んだか」だけでなく、「検討中に他に見たものは何か」「決め手になった一言は何か」まで聞くと使える材料が増えます。
まとめる先は1枚のシートで足ります。次の表の形で埋めておくと、社内で共有するときにも、外部の運用会社に渡すときにも使えます。
| 項目 | 書く内容 | 書き方の例(仮) |
|---|---|---|
| ターゲットの状況 | 状態・困りごと・きっかけ | 異動が決まり、これまでのやり方では回らなくなった担当者 |
| 選ばれる理由 | 顧客の言葉で3つまで | 「相談から実装まで同じ人が見てくれる」 |
| 出会う場所 | 検討段階ごとの媒体 | 顕在は検索広告、潜在は記事 |
| 成果の定義 | 段階ごとの目標件数と許容CPA | 問い合わせ100件、商談40件、受注10件 |
| データの持ち方 | 計測場所と、ステータスの定義 | 流入元はCRMに保存、商談は初回面談後 |
シートを埋めるなかで、数字が分からない欄が出てきます。それは失敗ではなく、最初に直すべき箇所が見つかったということです。たとえば商談化率が分からないなら、CRMにその記録がない、または定義がないことを意味します。
BtoBサービスを仮定した例|5項目を実際に埋めてみる
ここまでの内容が、実際のシートでどうなるかを見てみます。以下は、業種を「従業員30〜100人規模の企業向けの業務システム導入支援」と仮に置いた例で、実在の会社や数字ではありません。
ターゲットの状況は、「紙とExcelで受注管理をしていて、担当者が辞めると誰も分からなくなる不安が出てきた総務・業務部門の責任者。システム導入の経験はなく、何から相談してよいか分からない」と書きます。探し始めるきっかけは、担当者の退職や、取引先からの電子化の要請、決算前の締め作業での入力ミスなどが考えられます。
選ばれる理由は、既存の顧客に聞いた結果、「要件が固まっていない段階から相談できた」「最初に小さく試せた」が多かった、と仮定します。この場合、広告やLPで「ツールを売る」より、「何を電子化すべきかの整理から一緒にやる」を前面に出すほうが筋が通ります。
出会う場所は、顕在層には「受注管理 システム 比較」のような検索、潜在層には「Excel 受注管理 限界」のような課題の検索に答える記事を置きます。後者は問い合わせにはなりにくいので、記事から資料ダウンロードや無料相談へつなげる導線を用意し、見る数字は「記事経由の資料請求数」と「後日の指名検索」に設定します。
成果の定義は前の章と同じ要領で逆算します。月に2件受注したい、受注1件あたり200万円、広告費は売上の15%以内、と置けば、月の広告費の上限は60万円です。商談化率が30%、受注率が20%なら、必要な商談は10件、問い合わせは約33件になり、許容CPAは1万8千円ほどと求まります。BtoBでは案件単価が大きく、件数が少ないぶん、1件の商談の質が成果に直結します。そのため、問い合わせ件数よりも、商談化率を媒体別に追うことが優先になります。
データの持ち方は、「商談」を初回ヒアリングが終わった時点と定義し、フォームの隠し項目に流入元を入れ、CRMの商談に引き継ぎます。営業が入力する項目は増やしすぎず、受注・失注の理由だけは必ず選択式で残してもらいます。失注理由は、次の四半期にターゲットや訴求を見直すときの、いちばん正直な材料になります。
月次の運用に載せる|設計を「生きた状態」に保つ
上流設計は、一度作ったら終わりではありません。運用に載せないと、半年後には現実と合わなくなります。月に1回、次の順で見ると回しやすくなります。
- 逆算の表と実績を並べる(問い合わせ、商談、受注の件数と、それぞれの率)
- 目標との差がいちばん大きい段階を1つだけ選ぶ
- その段階に対して、直す施策を1〜2個に絞る
- 次の月に、同じ表で結果を見る
「差が大きい段階を1つだけ選ぶ」のが肝心です。問い合わせが少ないのか、商談になっていないのか、受注に届いていないのかで、手を入れる場所がまったく違います。問い合わせが足りなければ広告やLP、商談化が低ければ訴求と営業の初回対応、受注が低ければ提案内容や価格の見せ方を見直します。全部を同時に直すと、何が効いたのか分からなくなります。
この月次の見直しに営業責任者が同席すると、冒頭の「リードの質が悪い」「件数は取れている」という言い合いが、「どの段階の数字が目標に届いていないか」という会話に変わります。同じ表を見ているので、対立ではなく分担の話になるからです。

上流設計でよくある失敗と対処
実際に進めるときに起きやすい失敗を、対処とセットで並べます。
| よくある失敗 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 資料を作って終わる | 運用に使われず、結局は感覚で動く | 月次の振り返りで、シートの数字と実績を並べて見る |
| ターゲットを広く取りすぎる | 訴求が平均化し、誰にも刺さらない | まず1つの状況に絞り、反応を見てから広げる |
| 過去の数字がないまま完成させる | 逆算の前提が外れる | 仮の数字で作り、1〜2か月後に実績で置き換える |
| 営業を巻き込まない | 「商談」の意味が食い違う | ステータスの定義は営業と一緒に決める |
| 一度決めて見直さない | 市場や商品が変わっても前提が古いまま | 四半期に一度、5項目を読み直す |
とくに過去の数字がない場合は、完璧を待たずに仮の数字で進めて構いません。目標CPAが仮だと分かっていれば、実績が出たときに更新すればよいだけです。止まってしまうよりも、仮置きで動き出して、数字が入るたびに直すほうが現実的です。
よくある質問
Q. すでに広告を出していても、上流設計からやり直すべきですか?
止める必要はありません。広告を動かしたまま、過去の問い合わせ・商談・受注のデータを集めて、5つを順に埋めていけば大丈夫です。むしろ実績の数字がある分、設計の精度は上がります。
Q. 受注率や商談化率が分からない場合はどうすればいいですか?
最初は過去数か月の実績から、おおよその数字を出します。記録が残っていない場合は、営業担当者の感覚値で仮置きし、CRMや管理表で記録を取り始めて、1〜2か月後に実績に置き換えます。
Q. 上流設計は広告代理店に任せられますか?
広告運用だけを請け負う場合、商談や受注のデータまでは見えないため、設計が問い合わせ件数で止まりがちです。誰に頼むにしても、受注までのデータを一緒に見ながら進められる体制にしておくことをおすすめします。選ぶときの確認項目は広告代理店の選び方にまとめています。
Q. 小さな会社でも、ここまでやる必要がありますか?
むしろ予算が小さいほど、設計の差が結果に出ます。広告費が月数万円でも、5項目を1枚に書いておくだけで、どの媒体を止めるか、どの訴求を試すかの判断が早くなります。
Q. 数字の目標は、KPIツリーとどう違いますか?
この記事の逆算は、KPIツリーの考え方を広告まわりに絞って使ったものです。受注から問い合わせまでだけでなく、全体のKPIを分解して整理したい場合はKPIツリーの作り方を参照してください。
Q. ターゲットが複数いる場合は、どう書けばいいですか?
状況が違う人は、別のターゲットとして分けて書きます。ただし最初から3つも4つも並べると、どれも中途半端になります。過去の受注のなかで件数や単価がいちばん大きい状況を1つ選び、そこから始めるのが現実的です。反応を見て、次の状況を足していきます。分け方の考え方はSTP分析とはで整理しています。
まとめ:広告の成果は、出す前の設計に大きく左右される
マーケティングの上流設計は、誰の・どんな課題を・なぜ自社が・どこで解決して、どこまでを成果とするかを、広告を出す前に決めておくことです。とくに、売上から逆算した各段階の目標件数と、それを追うためのデータの持ち方が決まっているかどうかで、広告の成果の見え方は大きく変わります。
- 決めるのはターゲットの状況、選ばれる理由、出会う場所、成果の定義、データの持ち方の5つ
- 成果は受注から逆算し、問い合わせ件数と許容CPAを数字で置く
- ターゲットは属性ではなく、状況ときっかけまで書く
- 流入元をCRMに残す準備は、広告を出す前にやっておく
- わからない数字は仮置きして進め、実績で置き換える
すでに広告を出していて手応えがない場合も、一度この5つを見直してみてください。施策を増やす前に、直すべきところが見つかることが多いです。
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この記事を書いた人
株式会社Nexly 代表 大林 諒。広告運用、kintone・SalesforceなどのCRM構築、業務の自動化とAI活用を中心に、マーケティングの設計から実行まで中小企業の支援をしています。自社でも転職エージェント「Re:WORK」を運営し、広告・SEO・CRMを日々回しています。